高校生がラズパイでISS宇宙実験にチャレンジ

Credit: Nuno Barros e Sá

ポルトガルの3人の高校生チームがRaspberry Piを使って、国際宇宙ステーション(ISS)からの地球の磁場測定を試みた。研究内容が2022年5月23日に『American Journal of Physics』誌に掲載された。

これは、欧州宇宙機関(ESA)がイギリスのRaspberry Pi財団と協力して開催したコンテスト「Astro Pi Challenge」のプログラム「Mission Space Lab」の一環。ISSに設置されたRaspberry Pi用のアドオンボード「Sense Hat」には、磁力計とジャイロスコープ、加速度計、温度/圧力/湿度を計測するセンサーが搭載されている。

この高校生チームは、2021年4月にRaspberry Piで取得した測定値にもとづいて、地球の磁場をマッピング。この結果を、5年毎に更新される磁場の国際標準である国際標準地球磁場(IGRF)の2020年最新データと比較した。

高校生チームの考察によると、ISSからRaspberry Piで測定したデータによる地磁気マッピングと、観測衛星などによる精密なデータを使っているIGRFの数値には大きな差があった。この差はデータに対してほぼ固定値だったため、ISS内の静磁場が影響した可能性があると推察している。そして、ISSが15回周回するのに相当するデータを追加して分析したところ、結果が少し改善したという。

チームメンバーは、「ISSに搭載された安価なRaspberry Piの磁力計によるわずか3時間の測定で、IGRFによる地球の磁場の主な特徴を再現できたことに驚きました」と語っている。また、高校生らの実験をサポートしたメンターは、「地球上のさまざまなデータを測定し、インターネットやSNSでシェアすれば、遠く離れた国の学生を結びつける興味深い科学プロジェクトになるかもしれません」と述べている。

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