トランジスタの3次元微細加工技術――米研究所が原子スケールのエッチング過程のシミュレーションに成功

Credits: Ben Marshall for photo of Vella; Graves photo courtesy of Princeton University Department of Chemical and Biological Engineering. Collage by Kiran Sudarsanan.

コンピューターチップ上にあるトランジスタの集積率がおよそ2年で2倍になるというムーアの法則に支えられ、コンピューターをはじめ、スマートフォンなどが土台にある情報化社会がここ60年で築かれてきた。しかし近年、トランジスタが原子の数十倍というスケールにまで近づいており、ムーアの法則は物理的な限界を迎えつつある。そこで、デバイスの3次元構造による高密度化の技術開発が注目されている。

米エネルギー省のプリンストンプラズマ物理研究所は、産学連携により高性能で低コストの新しいチップ製造法の開発に取り組んでいる。今回原子スケールのチップ製造過程に重要なステップを分子動力学シミュレーションによって正確に予測し、研究成果を「Journal of Vacuum Science & Technology B」で発表した。

研究チームは、原子層エッチングと呼ばれる表面から1度に単一原子層を除去する製造工程をモデル化した。

同モデルにより、プラズマで発生した塩素やアルゴンのイオンにさらした際に、原子スケールでシリコンがエッチングされる過程をシミュレーションした。

原子層エッチングの正確なシミュレーションは、原子スケールで制御した複雑な3次元構造をシリコンウエハ上に作製することにつながる。

プリンストン大学のDavid Graves教授は、「同モデルは半導体製造過程において重要なピースになるでしょう。今回得られた科学的成果は、産業界においてさまざまな価値あるものにつながる可能性があり、だからこそ本取り組みには期待が持てるのです」と説明した。

関連リンク

Molecular dynamics study of silicon atomic layer etching by chorine gas and argon ions
PPPL findings could lead to ever-more powerful microchips and supercomputers

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る