- 2022-7-21
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- 3DBio Therapeutics(3DBio), 3Dバイオプリンティング技術, Arturo Bonilla, AuriNovo, Microtia-Congenital Ear Deformity Institute, コラーゲンハイドロゲル, 小耳症, 生体組織インプラント
アメリカの再生医療企業3DBio Therapeutics(3DBio)は、2022年6月2日、小耳症患者を対象とする臨床試験で、3Dバイオプリンティング技術で作った人間の耳の形をしたインプラント「AuriNovo」の移植を実施したと発表した。
AuriNovoは個々の患者に合わせて作られる生体組織インプラントだ。片方または両方の外耳が先天的に未発達である小耳症患者の外耳再建術では、従来、合成材料を使用したり患者の肋軟骨を移植したりしていたが、AuriNovoはその代わりになる治療法として開発された。同社は、臨床試験でAuriNovoを使用した再建治療の安全性データを収集し、予備的有効性データを評価する予定だ。
小耳症や耳に奇形のある子供たちを支援する米Microtia-Congenital Ear Deformity Instituteの設立者兼所長であり、AuriNovo移植チームを主導した外科医のArturo Bonilla氏は、「AuriNovoの移植は肋軟骨を用いる外耳再建よりも低侵襲の外科手術で可能だ。また、多孔質ポリエチレン製インプラントによる再建よりも柔軟性のある耳になることを期待している」とコメントしており、「いつの日か、肋軟骨を採取したり多孔質ポリエチレン製インプラントを使用したりする外耳再建術に代わって、AuriNovoが標準的な治療法になることを願っている」と期待を寄せている。
AuriNovoのサイズと形状は患者の反対側の耳に合わせて造形でき、3Dバイオプリントされたコラーゲンハイドロゲルが、患者自身の耳介軟骨細胞を包んで、細胞が定着、分化、増殖する「足場」の役割を果たす。Bonilla氏は「AuriNovo生体組織インプラントは、生まれつき小耳症である患者の外見を変えて患者自身が自信と自尊心を高めることで、患者たちにより良い解決策を提供するよう設計されている」と話している。