マイクロプラスチックによる汚染を低減――シルク由来のカプセル化材料を開発

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Credits:SEM images by Muchun Liu, edited by MIT News

自然に分解されないマイクロプラスチックは、世界中の空気や水、土壌に長く留まり、動物や人体に影響を与えている。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、化粧品や農薬に使用するマイクロカプセル用プラスチックの代替品として、生分解性を持つシルク由来の材料を開発した。研究結果は、2022年7月8日付けの『Small』に掲載されている。

マイクロプラスチックといえば、プラスチック製品の経年劣化などから発生することが知られているが、意図的に添加されている場合もある。化粧品や洗剤、塗料、農薬の有効成分をプラスチックでマイクロカプセル化し、使用前の劣化を防ぐとともに、その放出速度を制御するためだ。

欧州化学品庁(ECHA)の見積もりによると、添加物としてのマイクロプラスチックはEUだけで毎年5万トン発生しており、EU市場では2025年までに意図的に添加された非生分解性のマイクロプラスチックを規制すると公表している。そのため、多くの産業が、生分解性を備え、実用的かつ経済的な代替品を求めている。

MITの研究チームが着目したのが、安全に食品や医薬品へ利用できるシルクプロテインだ。博士課程の学生であるMuchun Liu氏らは、シルク材料のポリマー鎖配置の調整と界面活性剤の添加により、シルクプロテインをマイクロカプセル化できる方法を開発した。また、中身の材料とコーティング材料を水溶液中で混合し、噴霧乾燥または噴霧凍結乾燥技術を改良して、大きさ数~百nmのシルクプロテインミセル(高分子集合体)を作製した。中空構造で、表面は、滑らか、凸凹、多孔質など、さまざまに加工できるほか、親水性、疎水性、またはその中間と、その特性も調整できる。

実験では、既存の標準的な噴霧式製造装置とシルク由来のコーティング材料を使って、標準的な水溶性のマイクロカプセル除草剤を製造できることを実証した。さらに、その除草剤を温室栽培のトウモロコシに与え、既存の製品より効果が高く、作物に与える影響は少ないことを確認した。

現在、シルクの多くは中国で生産されているが、開発したシステムは低品質または使用済みで廃棄されるシルクも材料にできるため、コストを抑えられ、他の地域にも展開しやすい。

意図的に添加されるマイクロプラスチックは、全体の10~15%に相当するとも言われている。1つのソリューションでマイクロプラスチック問題をすべて解決することはできないとしつつ、「大きな数の10%は、数値的にはやはり大きい。我々は、気候変動や世界の汚染を1回に1%ずつ解決していく」と、研究チームを率いるBenedetto Marelli教授は語る。

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