ユニチカは2022年9月15日、次世代無線通信として期待されている6Gに対応する強磁性超微細繊維「磁性ナノワイヤー」を開発したと発表した。太さが髪の毛の500分の1程度の非常に細い繊維で、塗料などに分散すれば機能や用途が広がる。特に、電磁ノイズに対する高い遮蔽性能があり、6Gでの通信の信頼性向上が期待できる。
今回開発された磁性ナノワイヤーは、鉄やニッケルといった金属を約100nmの微細な繊維に加工。樹脂材料などに添加することで、従来の製品にはない幅広い周波数帯の電磁ノイズを吸収できる。特に6Gの実証実験が進んでいるテラヘルツ帯の電磁ノイズ対策としては、厚さ1mm未満の薄いシートでも10~50dB遮蔽できる十分な性能を確認した。
また、樹脂材に含ませて使用する場合は、含有量が0.1~4.5vol%と少量でも効果を発揮するため、材料の加工性や柔軟性など特性をそのまま生かして製品設計できる。こうしたことから磁性ナノワイヤーは、高集積、小型薄型化が必要な6G対応のアンテナ、レーダーへの採用が進むと期待される。
2030年の商用利用に向けて国内外で開発が進められている6Gだが、これまでほとんど利用されていなかったテラヘルツの電波で無線通信するため、新たな電磁ノイズ対策が求められている。テラヘルツの電磁ノイズ遮蔽に有効な材料について研究が進められる中、ユニチカは今回の磁性ナノワイヤーで、テラヘルツの電磁ノイズを50dB以上遮蔽することに成功した。
同社では、磁性ナノワイヤーの実用化に向けて、さらなるデータ取得を図る一方、量産体制の構築を進めている。
今回の成果についてユニチカは、2022年9月20日の日本金属学会講演大会と、21日の応用物理学会秋季学術講演会での発表を予定している。