2022年に92%の企業がベースアップを予定――米PayScal調査

新型コロナウイルスのパンデミックとその余波は、経済へ大きく影響を与えている。労働市場はますます競争が激しくなり、エスカレートするインフレと相まって、企業が従業員をつなぎ留めることがより重要になっている。

米PayScaleが発表した給与に関する報告書「2022 Compensation Best Practices Report(CBPR)」によると、2021年は76%の企業が労働力不足に直面し、優秀な人材の確保が困難だったと報告している。また、92%の企業がベースアップを2022年に実施し、3%以上の昇給を予定している企業も44%に上る。

PayScaleは昇給に影響を与える要因として、「場所」「業界」「技能と成果」「経済」を挙げている。

それによると、雇用主の地理的な「場所」の成長と経済の健全性が、昇給および昇給額の要因となると分析している。「業界」もまた賃金に大いに関係し、太陽光エネルギー、人工知能、サイバーセキュリティといった成長産業は、平均よりも増加額が大きい。一方、教育や輸送といった部門は近年、増加額が平均よりも低い傾向にある。

多くの雇用主は、毎年あるいは半年ごとに従業員と業績を振り返り、成果を話し合い、改善点を明らかにして、その後数カ月もしくは翌年の目標を設定する。目標をどの程度達成し、上回ったかという従業員の「技能と成果」は、昇給額の決定に関わる。

地方および国の「経済」の動向も、もちろん昇給額に影響する。例えば景気後退により企業の売り上げが落ちたり、成長に陰りが見られたりする場合、昇給を妨げる要因となるだろう。

また、一言で昇給と言っても、「インフレ対策」や「能力給」など、さまざまな種類がある。例えば、インフレ対策の昇給として、生活費の上昇に応じて賃金を上げて生活水準を保つ「生活費調整(COLA)」が知られている。ただし、2022年1月の米国消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で7.5%上昇しており、名目賃金が上がっても実質賃金が物価の高騰に追いつかない可能性はある。

予算内に人件費を維持しながら、一定数の従業員を確保することは、経験豊富な雇用主にとっても、バランス取りが難しいという。昇給にふさわしい時期や額には、多くの要因が絡んでいる。

関連リンク

Annual Salary Increases: Industry Averages & Key Factors

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る