探査機を大気圏突入時に守る――NASAが大型エアロシェル「LOFTID」の再突入実験へ

Credits: NASA/Greg Swanson

NASAは、宇宙探査機を大気圏突入時の高温高圧から保護するため、新しい膨張式熱シールド「LOFTID(Low-Earth Orbit Flight Test of an Inflatable Decelerator)」を発表した。地球だけでなく、火星など他の天体での大気圏突入も想定している。2022年11月1日にアトラスVロケットによって地球低軌道に打ち上げられ、再突入実験を行う予定だ。

探査機が大気圏に突入すると空気抵抗が働いて探査機は減速し、運動エネルギーは熱に変換される。空気抵抗による減速は最も効率が良いとされているが、地球より大気密度の小さい火星では、地球と同程度のスピードで減速することが難しく、より強力な保護手段が必要だ。

そこで、NASAは柔軟な熱シールドで保護され、宇宙空間で膨張可能なエアロシェルとして、LOFTIDを開発した。直径は6mと、従来のハードタイプのエアロシェルよりも大型で、火星の大気圏でも巨大なブレーキとして機能する。高高度から減速できるため、探査機を熱から保護できる。

LOFTIDは拡張性も高く、直径3~12mまで用途に応じて設計可能だ。重いペイロードを地球に帰還させるだけでなく、火星探査では乗員や大型機材を安全に着陸させることができるだろう。金星や土星の衛星タイタンなど他の太陽系探査にも活用できる。

11月の実験では、宇宙空間で膨張したLOFTIDはセンサーやカメラで再突入データを取得し、ビーコンで位置を送信する。打ち上げから2時間後、LOFTIDはパラシュートを展開して海に着水。データを保存したレコーダーと共に回収される予定だ。

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