- 2022-11-16
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- Marshall Smith, Maxar Technologies, Nanoracks, NASA, Near Space Network, Outpost Mars Demo-1(OMD-1), SpaceX, Transporter 5, Voyager Space, エンドエフェクタ, デブリ, ライドシェアフライト, ロボットアーム, 金属切断
宇宙サービスを手掛ける米Nanoracksは2022年9月16日、公式サイトで宇宙での金属切断を世界で初めて実証したと発表した。今回成功したのは、Nanoracksが親会社のVoyager Spaceと共同で行った「Outpost Mars Demo-1(OMD-1)」というデモンストレーションミッションだ。SpaceXの「Transporter 5」ライドシェアフライトで打ち上げられた。
OMD-1ミッションには、SpaceXロケットの上段にホストペイロードとして搭載された新しいロボットアームが使用された。このロボットアームは米Maxar Technologiesの支援により、摩擦でミリングする市販のエンドエフェクタを活用して開発されたもの。高速回転の切削工具で金属を軟化させ、軌道上の破片を減らしながら切削する仕組みだ。Outpost実証宇宙船からデブリが出ないよう、実験に使用したアームや金属サンプルは筐体内に収められ、この宇宙船は地球の大気圏に再突入して燃え尽きた。
切断に関するデータはNASAのNear Space Networkを通じて地球に送られ、Nanoracksのエンジニアが分析した。干渉があり写真を撮ることはできなかったが、技術的な調整やミッションの運用など、改善すべき点についてかなり知ることができたという。
今回、耐食鋼1枚を切断するというミッションは達成されたが、余分に積み込んでいた残りの2枚の耐食鋼は切断されなかった。その原因については今後調査していく計画だ。
Nanoracksの宇宙システム担当シニア・バイス・プレジデントであるMarshall Smith氏は、「今回の軌道上での金属切断の成功は、宇宙でのインフラ構築への道のりにおける重要なマイルストーンとなるものです」と位置づけ、2枚の耐食鋼が切断されなかったことについて「近い将来、再び金属切断を実験できるように、必要な調整を行うことを強く望んでいる」と述べた。
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