100Jのパルスレーザを10Hzの高繰り返し周波数で出力――レーザ核融合の実用化に向け前進 浜松ホトニクス

浜松ホトニクスは2023年1月12日、エネルギーが100ジュール(以下、J)のパルスレーザを10ヘルツ(以下、Hz)と高い繰り返し周波数で出力することに成功したと発表した。パルスレーザ装置のレーザ媒質を冷却する能力を高めるとともに、励起用半導体レーザ(LD)モジュールの出力を最適化している。

原子核同士が融合する反応である核融合は、融合する際に大きなエネルギーが発生する。レーザ核融合は、高出力のレーザを重水素と三重水素を入れた燃料カプセルに照射し、核融合を起こす技術となる。

レーザ核融合の実用化には、1MJと高エネルギーのパルスレーザを10Hzと高繰り返しで核融合燃料に照射する必要がある。そこで同社は、レーザ媒質をLDモジュールで励起し、ヘリウムガスで高効率に冷却するレーザ増幅器を用いた高出力、高繰り返し周波数のパルスレーザ装置の研究開発に取り組んでいる。

今回、レーザ媒質の温度上昇を防ぐため、レーザ媒質の冷却の仕組みを工夫。ヘリウムガスの流量を増やし、冷却能力を高めたことに加え、励起用LDモジュールの出力を最適化した。この結果、レーザ媒質の特性の劣化を抑え、100Jのパルスレーザをー10Hzと平均出力1kWで出力することに成功した。

100Jのパルスレーザを10Hzで出力する装置の仕組み

この成果により、レーザ核融合の実用化で重要なマイルストーンである、1kJのパルスレーザを10Hzで出力する技術の確立に向けて前進した。また、基礎科学の分野での新たな研究への貢献が期待される。同社は今後、250Jのパルスレーザを10Hzで出力する技術の確立を目指す。

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