米Boom Supersonic、超音速旅客機Overture用のエンジン「Symphony」の構想を公開

米Boom Supersonicは2022年12月14日、同社の超音速旅客機Overture用に設計/最適化され、持続可能でコスト効率の高い新しい推進システム「Symphony」の構想を発表した。現在、設計が進行中だ。

Symphonyは、現在すべての民間航空機に搭載されているものと同じエンジン構造を持つ、中程度のバイパスターボファンエンジンだ。亜音速ターボファンとは異なり、この新しい推進システムは、Boomが設計した軸対称の超音速インテーク、可変形状の低騒音排気ノズル、受動冷却の高圧タービンを備える予定だ。

離陸時の推力は3万5000ポンド(約1万6000kg)、100%持続可能な航空燃料(SAF)に最適化されており、マッハ1.7(時速約2100km)で飛行する。アメリカ連邦航空局(FAA)および欧州航空安全機関(EASA)のPart33(航空機エンジンの耐空基準)の要件に準拠するという。

最適な超音速性能と効率を可能にし、炭素排出量はネットゼロ、航空機騒音基準のChapter 14を満たした状態で作動する予定だ。派生的なアプローチと比較して、翼上での飛行時間が25%増加し、エンジンのメンテナンスコストが大幅に削減され、航空機の運用コスト全体を10%まで削減することが期待できるという。

Symphonyの設計がすでに進行中のため、Symphonyを搭載するOvertureは2029年の型式証明取得に向けて順調に開発が進められている状態だ。2024年に生産を開始し、2026年に発売、2027年に初飛行を行う予定となっている。

Symphonyの開発には、エンジン設計に米Florida Turbine Technologies (FTT)、アディティブ・マニュファクチャリング技術の設計コンサルティングに米GE Additive、そしてメンテナンスに米StandardAeroという、業界のトップ企業3社が参画している。

関連リンク

Introducing Symphony™: The Sustainable and Cost-Efficient Engine for Overture
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