- 2023-2-3
- 技術ニュース, 電気・電子系
- NEDO, フルヤ金属, プラズマ, マイクロ波TM110モード共振器, マイクロ波共振器, 固体金属, 東北大学, 省エネルギー化, 研究, 豊橋技術科学大学, 還元材, 金属イオン, 金属プラズマ, 金属酸化物
豊橋技術科学大学は2023年2月2日、東北大学と共同で、液体やガスを使わず、マイクロ波共振器で形成される高磁場のみにより、固体金属から直接放出される金属イオンと電子によりプラズマが発生し、その維持ができることを発見したと発表した。金属酸化物の還元材として利用でき、従来に比べて大幅に省エネルギー化できると期待されている。
現代では、車やプロジェクターのヘッドランプ、半導体デバイス製造での微細加工技術のプロセスのキー技術として、プラズマ技術が広く利用されている。
ほとんどのプラズマ技術は、チャンバーへ液体やガスを導入し、高電場が高電圧や高周波で形成された場所で、原子や分子をその高電場で電離させる。プラズマは、高電場によってエネルギーをイオンや電子の集団に与え続けて維持する。また、高磁場の例は、核融合炉のトカマク型では、高磁場でプラズマの閉じ込め核融合反応に利用されている。
今回、マイクロ波TM110モード共振器内では、高磁場が中心軸上に発生する。研究では、金属の導入で誘導電流が発生し、金属そのものが加熱される。融点の半分くらいの温度で、熱電子を放出し、さらに金属原子を放出する。磁場で電子が回転させられ、原子と電子が衝突し、放電が始まる。
プラズマは、導体であることや、二重石英管内部の石英管の大きさにプラズマ形成領域を限定させていることから、原料がなくなるまで、高磁場からプラズマへエネルギーを供給できる状態を維持した。MgイオンやCaイオンは、内部エネルギーが大きく、金属酸化物の還元材として利用できる。従来に比べると、大幅に省エネルギー化できることが期待されている。
今後、フルヤ金属と進めているNEDO先導研究プログラム「酸化スカンジウム 精錬技術の高度化に向けた装置開発と応用」の最終目標として達成しつつ、マイクロ波化学や工学の社会実装の成功例として取り組むことを予定している。
この手法は、レアアースやレアメタルの還元手法として適用できることから、材料分野での革新が期待できる。また、最新半導体製造プロセスでは、多くのプラズマが使用されており、今回の手法によるプラズマが活用できる可能性が考えられる。これらは、政府研究開発プロジェクト(国プロ)への提案を予定している。