菱洋エレクトロは2023年4月19日、国内で初めて全固体電池メーカーの仏ITEN(アイテン)と代理店契約を締結し、環境に配慮した安全な全固体電池の取り扱いを開始すると発表した。同社は、ワイヤレス製品への組み込みも含めたソリューションの提案に力を入れていく。
リチウムイオン電池やアルカリ乾電池、ボタン電池などの主な電池は、生活に欠かせないが、電解液で構成されているため、使用用途によっては液漏れや発火の恐れがある。しかし、充電と放電を繰り返すことで再利用できる二次電池のひとつで、固体の電解質で正極と負極をつなぐ全固体電池は、有害物質や電解液を一切使用しないため、従来の電池よりも安全性が高い。
全固体電池は、10~20年と寿命が長く、交換の手間を省ける。3D技術を使用し、従来の充放電できるリチウムイオン電池と比べ、2倍以上長い期間使用できる。
また、環境汚染のおそれがあるリチウム含有金属酸化物や有機電解液などの有害物質や重金属を使用していないことに加え、供給リスクの高いレアアースも使用していない。電解液を使用しておらず、液漏れや発火の可能性がない。通常の電池は有害ごみになるが、本製品は資源ごみとして処理したり、可燃ごみとして廃棄できる。(※廃棄方法は国や自治体によって異なる)
ITENの全固体電池は、指に乗せられるほど小さいサイズながら、30mAのパルスを0.1秒間出力する。サイズは250uAh品が4.5×3.2×2.3mm、電力密度改善版の500uAh品が4.5×3.2×1.6mm。充電は50%まで約1分、80%まで約5分と高速充電に対応する。シンプルな充電回路を採用しており、電力管理ICなどの必要がない。また、リフローに対応しており、耐熱性は現行165℃から270℃に改善を予定している。
同社は今後、ラインアップの拡充に加え、それぞれの製品に環境にやさしい部品を組み込むことで持続可能な社会を目指す。
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菱洋エレクトロ、フランスの全固体電池メーカーITENと日本初の代理店契約を締結 ~環境に配慮した安全な電池の採用拡大を目指す~ | 菱洋エレクトロ株式会社