- 2023-6-12
- 化学・素材系, 技術ニュース
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独立行政法人国立科学博物館は2023年6月9日、東京都立大学大学院との研究グループが、自動車排ガス浄化触媒の耐久性を劇的に向上させる触媒調製手法を開発したと発表した。研究成果は5月31日にアメリカ化学会が発行する英文誌「ACS Materials Au」に掲載された。
研究グループは、活性成分であるロジウムを比較的安価な元素であるモリブデンと複合クラスター化するという調製手法を開発。調整によって生成された担持ロジウム-モリブデン触媒が優れた耐久性を示すことを確認した。
これまでの一般的な手法では、担持ロジウム-モリブデン触媒は、ロジウムとモリブデンの別々の前駆体を用いて調製される。しかし、あらかじめロジウムとモリブデンを複合クラスター化したうえで触媒を調製すると、ロジウムとモリブデンが効率的に混ざった微粒子が形成される。1000ºCという高温で劣化処理し、触媒の耐久性を比較したところ、一般的な手法の触媒では性能が大きく低下したのに対し、今回開発した触媒は耐久性が劇的に向上。劣化処理による性能の低下はほとんど見られなかった。この理由について、複合クラスター化によってロジウムとモリブデンが微粒子中で効率よく混ざり、ロジウムとモリブデンの界面が高密度に形成されたためとしている。
自動車排ガス浄化触媒は、自動車の排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)、未燃焼の炭化水素などの有害成分を無害化する材料で、活性成分としてロジウムやパラジウムなどの貴金属元素が使われている。研究グループは、今回の技術を使って自動車排ガス浄化触媒の耐久性を向上させれば、貴金属使用量の低減や環境負荷の軽減につながると期待を寄せている。