相溶化剤を新開発、強度と導電性に優れた熱可塑性炭素繊維複合材料を作製 金沢工業大学ら

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金沢工業大学は2020年3月13日、同大学革新複合材料研究開発センター(ICC)が三栄興業と共同で相溶化剤を新開発することで、従来の炭素繊維複合材料よりも強度が高く、帯電防止特性を持つ新規の熱可塑性炭素繊維複合材料を開発したと発表した。

炭素繊維と樹脂を混ぜると軽くて強い材料となる。一方、炭素繊維と樹脂は一般的には相性が良くないため、上手に混ざらないことが多く、強度の面で課題となっている。また樹脂は電気絶縁性を有するため、半導体や電子部品などの精密部品の分野では、静電気などを帯電しない導電性に優れた複合材料が求められていた。

炭素繊維と樹脂を混ざりやすくする相溶化剤としては、従来、無水マレイン化ポリプロピレン(MAPP)が使われている。しかし、MAPPを用いた複合材では、炭素繊維と樹脂間は面ではなく点で接着するため、界面接着性が十分でなく(接着力が薄弱)、導電性も十分に得られないという問題があった。また、複合材の界面接着性を向上させるために、MAPPを大量に添加しなければならないが、MAPPの配合量を増大させると、複合材の導電性が低下してしまうという問題もあった。

そこでICCと三栄興業の研究チームが共同開発したのがiPP-PAA(アイソタクチックポリプロピレンポリアクリル酸共重合体)だ。これは炭素繊維と樹脂間が面で結合する相溶化剤で、少量でも界面接着性が向上するため、機械的特性(高比強度、高比弾性率)と導電性(静電気の帯電防止)に優れた複合材を可能にする。炭素繊維の繊維長が0.1~50mmの短繊維でも剛性が保ち、熱可塑性炭素繊維複合材料としての射出成形や押出成形などの成形性も向上させる。

iPP-PAAを適用した熱可塑性炭素繊維複合材料は、高比強度、高比弾性率などの機械的特性が要求される自動車や航空機関連の部材や建材などでの用途が期待されるほか、静電気などの帯電防止性能が高いレベルで求められる半導体などの精密部品の成形分野で利用価値が特に高く、今後の需要が見込まれる。

なお、研究内容については、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC) の附木貴行研究員による発表資料とプレゼン動画が公開されている。

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プレスリリース
発表資料とプレゼン動画 4)新規相溶化剤による未来材料の創成

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