ニュートンの運動法則に挑むメタマテリアルを開発

Eric Stann/University of Missouri

ミズーリ大学の研究チームが、電気信号を使って弾性的なエネルギー波の方向と強度を制御するメタマテリアルの開発に成功した。

同研究成果は2023年5月18日、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に掲載された。

同研究論文の責任著者であるGuoliang Huang教授は、「従来の方法には、大きさや重量など多くの制約があります。そこで、航空機のような大きな構造物から発生する低周波の振動を制御できる、軽量で小型の材料を用いた手法を模索してきました」と述べた。同研究成果はこの目標に近づいたものだ。

メタマテリアルとは、自然界では見られない特性を持つように設計した人工複合材料だ。弾性的メタマテリアルの研究では、負の質量密度を持った複合材料などについて研究/応用が進められてきた。

同研究で開発したメタマテリアルは、弾性体内に周期的に内部共振器を配置した基本構成で、その内部共振器の垂直方向の振動を感知する振動センサーと、そのフィードバック信号で内部共振器の水平方向の運動を駆動するアクチュエータで構成される。非対称な制御によって、例えば、入力が横波の弾性波の場合、出力は横波に加えて縦波が生じた混合波となるが、縦波の場合は縦波のみの非対称な応答となる。

このメタマテリアルの応答は、弾性体の2次元の行列からなる運動方程式で表され、非対称な奇数質量密度テンソルという、新奇な力学法則によって記述される。つまり、力と加速度が同じ方向に向かうことはなく、それによって、物体の構造力学/特性の設計を最適化する、従来にない方法を提供し、ニュートンの第二法則に挑戦するという。

同研究では、圧電素子を用いたメタマテリアルが作製され、電気制御による方向性のある波の増幅が示され、この新奇な力学法則によって引き起こされる波動現象が実証された。

同設計は、飛行中の航空機の乱気流によって生じる振動の管理、橋やパイプラインに対する非破壊的な構造健全性監視などの応用に役立つという。

関連情報

Smart material prototype challenges Newton’s laws of motion

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