MIT、飲み込んで体内でバイタルサインを記録するデバイスを開発

Credits:Image: MIT News

マサチューセッツ工科大学(MIT)を中心とする研究チームは、体内から心拍数や呼吸数などのバイタルサインをモニタリングできる、カプセル型デバイス「バイタルモニタリング錠剤(VM Pill)」を開発した。睡眠時無呼吸障害の診断や、中毒性のある鎮痛剤オピオイド過剰摂取の検出に役立つ可能性がある。研究成果は、『Device』誌に2023年11月17日付で公開されている。

開発した飲み込めるカプセル型デバイスは、加速度計を用いて、心臓の鼓動や肺の膨張によって生じるわずかな動きから患者の心拍数と呼吸数を測定する。ブタを用いた試験では、オピオイドの一種であるフェンタニルの大量投与による呼吸数の減少を、リアルタイムで検出できることを確認した。また、10人のボランティアによるヒトを対象とした臨床試験では、睡眠中のバイタルサインを従来の手法と同程度の精度で測定でき、睡眠時無呼吸障害でみられる呼吸の停止と再開の繰り返しを検出できることが示されている。この飲み込み型デバイスによる有害事象は報告されず、摂取14日後のX線撮影ではデバイスが患者の体内に残っていないことが確認された。

これまでの研究から、同様の大きさのデバイスは1日強で消化管を通過することがわかっている。研究チームは、今後、胃の中にとどまる時間を延長し、長期間のモニタリングが可能になるように改良したいとしている。さらに薬剤をデバイスに組み込み、オピオイドの過剰摂取による症状などが発現した際に、自動で薬剤が放出されるようにしたいとも考えている。

睡眠時無呼吸障害の診断は、バイタルサインをモニターする外部装置を体に接続して、一晩病院で寝なければならない。しかし、この飲み込み型デバイスが実用化されれば、より侵襲性の低い方法で診断が可能だ。また、オピオイドの過剰摂取経験者は、再発リスクが高いことが知られている。研究チームは、そのような人がこのデバイスを利用すれば、より注意深く過剰摂取を監視でき、仮に過剰摂取した場合も命を救うことができるとしている。

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