3種以上の混合ガスから、リアルタイムで濃度測定できる小型センシング技術を開発 東芝

東芝は2023年6月26日、二酸化炭素(CO2)や水素(H2)などの3種類以上の混合ガスからリアルタイムで濃度測定できる、小型センシング技術を開発したと発表した。

カーボンニュートラル社会の実現に向け、「CO2資源化技術」や「カーボンフットプリント」実現のための技術開発が世界的に進められている。これらを実現するためには、混合ガスにおける成分や濃度を正確にかつできるだけリアルタイムで把握する必要がある。

従来、ガス濃度測定にはガスクロマトグラフィーが用いられているが、リアルタイムで測定することは難しい。これに代わる方法として各種ガスセンサーの開発が進められているが、被毒性の高いガスの影響で正確に測定できなかったり、3種類以上のガスが含まれると濃度を算出できなかったりする課題があった。

今回開発した技術は、感度の異なる複数の熱伝導型ガスセンサーを使い、各センサーの検出値をアルゴリズム処理して、各ガス濃度の測定値として出力。どのガスによって熱を奪われたのかを判定する技術を開発した。これにより、従来の酸化物半導体型や接触燃焼型、熱伝導型のガスセンサーなどで発生していた、被毒性の高いガスの影響を排し、同時に3種類以上含む混合ガスでも測定できるようになった。

同社独自のMEMS技術を用いた熱伝導型ガスセンサーの模式図と動作原理

また、同社独自のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって1つの基板上に超小型センサーを一括形成することで、従来のガスクロマトグラフィーの平均サイズの200分の1以下のモジュールサイズ(約106cm3)を実現。さらに、測定スピードも従来の150倍以上で測定できることを実験により実証した。

試作したセンサーモジュール

同社では今後、センサーの構造やアルゴリズムの最適化によって、2026年に本技術の実用化を目指す。

関連情報

世界で初めて、実環境でリアルタイムに二酸化炭素や水素などを3種類以上含む混合ガスから濃度測定できる小型センシング技術を開発-従来比1/200以下のサイズかつ150倍以上の速度で複数のガス濃度をモニタリングし、CO2資源化技術の高効率化や高信頼なカーボンフットプリントの実現に貢献- | 研究開発センター | 東芝

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