DICは2024年2月28日、200℃以上の耐熱性とリサイクル性を備える革新的な「エポキシ樹脂硬化剤」の基本技術を発表した。従来のエポキシ樹脂が有する高い耐熱性や耐久性、優れた機械的性質などの特性の発現に加え、リサイクルが困難とされる熱硬化性プラスチックであるエポキシ樹脂への再成形機能付与や、エポキシ樹脂成形物の用途に合わせた再成形ができる。
ペットボトルなどの熱可塑性プラスチックは、世界的にリサイクルが進んでいるが、エポキシ樹脂などの熱硬化性プラスチックは、加熱硬化する特性からリサイクルが困難とされている。そこで同社はこの課題の解決に向け、エポキシ樹脂が有する特性である耐熱性や耐久性、接着性、機械強度、電気絶縁性を保持しながら、再成形機能を付与したエポキシ樹脂硬化剤の基本技術を開発した。
5G通信網の普及への貢献や、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー分野、パワー半導体などの省エネルギー分野などに対し、同社のエポキシ樹脂は優れた性能を提供してきたほか、モビリティの軽量化を促進するためのガラス繊維や炭素繊維強化プラスチック(GFRPやCFRP)のマトリックス樹脂としても活用されている。
今回開発した基本技術をこれらに導入し、リサイクルが困難だったエポキシ樹脂の再成形を実現する。同社の研究によると、高いガラス転移温度(240℃)や鉛フリーはんだに対する耐性、5回リサイクルを繰り返した後でも、耐熱、機械物性の回復率が90%以上を維持することが確認されている。
今後、プラスチック廃棄物の削減や、複合材料や電子機器に使用される樹脂材料の回収/再利用への貢献が期待される。製品のライフサイクル全体における環境負荷を低減し、2027年には実証実験フェーズへの移行を目指す。