スマートガラスの反応時間、新記録を樹立――切り替え可能な遮光ウィンドウの開発に貢献

© Vera Hiendl, e-conversion / LMU

スマートガラスはガラス内部に化学物質を封入し、電圧を印加することで酸化還元反応を起こし、カラスの色や透明度を変化させる。エレクトロクロミックガラスや、エレクトロミックデバイスとも呼ばれている。

ミュンヘン・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学(LMU)のThomas Bein氏率いるLMUチームが、スイッチング速度と発色効率が無機化合物の何倍も高いCOF構造を開発した。COF (共有結合型有機フレームワーク)とは、合成された有機構成要素を適切に組み合わせることで、結晶やナノポーラスのネットワーク構造を形成する。これに電圧を印加して材料の酸化または還元を引き起こすことで、色の変化を引き起こすことができる。

研究では、COFのモジュール構造原理を利用し、特定のチエノイソインジゴ分子を用いた。目的に応じて理想的な構成要素を設計し、COFに組み込むことでCOFの特性を大幅に向上させることができる。例えば、波長の短い紫外線や可視光のごく一部を吸収するだけでなく、近赤外のスペクトル領域でも感光性を示した。

開発されたCOF構造は、電気化学的な酸化に対する感度が非常に高いことも特徴だ。低電圧をかけるだけでCOFの色が変化する。しかも完全に可逆的だという。さらに、この変化は非常に高速で起こる。酸化による色変化の反応時間は約0.38秒で、初期状態への還元は約0.2秒しかかからない。

同構造を用いた製品は、非常に高い安定性も備えている。長期的なテストの結果、200回の酸化/還元サイクルを経ても性能を維持することが分かった。

研究成果はスマートガラスとして、切り替え可能な遮光ウィンドウ、プライバシー保護ウィンドウなど、建築分野での需要が見込まれている。

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