絶縁被覆純鉄粉を用いたモータの設計や試作を実施――48％の薄型化、40％の軽量化を実証 JFEスチールら

JFEスチールは2024年1月16日、JFEテクノリサーチおよびアーミスと共同で、JFEスチールが開発した絶縁被覆純鉄粉「電磁郎」を用いた、新たなモータの設計や試作、評価を実施したと発表した。

軸方向の磁力を用いて回転させるアキシャルギャップモータは、一般的に使用されているラジアルギャップモータと比較して薄型で出力が大きく、近年注目を集めている。

ただし、3次元的な磁心構造を要するため、電磁鋼板を積層する磁心では製造が困難で、適用事例が限られていた。一方で、絶縁被覆した磁性粉を加圧成形した圧粉磁心は、3次元的に均一な磁気特性を有する。また、複雑形状にも対応可能で、アキシャルギャップモータの磁心に適するとみられる。

3社は今回、電磁郎で製造した圧粉磁心を用いて、アキシャルギャップモータを設計、試作し、性能を評価した。冒頭の画像は、この試作プロセスを示したものだ。

評価の結果、既存のモータと同レベルの出力を保ちながら、48％の薄型化、40％の軽量化を実現できることを確認した。

従来モータと試作モータの評価結果比較

従来モーターと試作モータの実測効率マップ

また、JFEスチールおよびJFEテクノリサーチは、顧客による圧粉磁心を用いた部品の設計サポートを目的に、外径110mmの切削加工用大型圧粉体の提供や、設計形状に加工した試作圧粉磁心の提供を開始した旨も発表している。