NTNは2024年5月21日、電気自動車(EV)の駆動源として使用される同軸e-Axle向けに、標準品の2倍以上の高速回転性能や耐電食性を持つ、大径深溝玉軸受を開発したと発表した。同軸e-Axleのさらなる小型化や軽量化、高効率化とともにEVの航続距離の延長に貢献する。
新たな大径深溝玉軸受は、使用する転動体(ボール)の個数や保持器のポケット数を削減することで、高速回転時に保持器にかかる遠心力を低減。同時に保持器の形状を工夫し、必要な強度に合わせた最適な材質を採用することで、高速回転時の遠心力による保持器の変形を最小化した。これによって、軸受内径50mm~90mmの大径サイズの軸受では、標準品に比べ、2倍以上となるdmn値150万を実現した。さらに使用するボール個数を削減したことによって、標準品比で50%以上の低トルク化も可能になった。
また、ボールを絶縁体であるセラミック製にすることで、モーターからの漏洩電流でスパークが発生して軌道面が溶融するのを防いだ。優れた耐電食性で剥離などの損傷を抑える。
近年、EVの航続距離を延ばすために、小型で軽量な駆動源として同軸e-Axleが注目を集めている。同軸e-Axleはモーターと遊星歯車減速機から構成され、減速機の出力軸がモーター軸の内径を貫通する構造となっている。このため、使用されるモーター支持用軸受は、軸受内径が50~90mmの大径サイズとなるが、こうした大径サイズの軸受には、モーターの高出力化への対応や低トルク化、電食対策などといった課題があった。
新開発の大径深溝玉軸受はこうした課題を解決し、EVのさらなる航続距離の延長と普及に貢献する。