紙の材質を最大限活用した、生分解性電気回路の開発

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米ビンガムトン大学の研究チームが、紙の材質を最大限活用した、環境に優しい生分解性の紙製電子回路「Papertronics」を開発した。同回路は、再利用可能な1枚の紙に回路基板の全ての電子部品を集積できる。

同研究成果は2024年2月28日、「Advanced Sustainable Systems」誌に掲載された。

食品包装や農業、スマート包帯などの使い捨てセンサーにおいて、環境負荷を低減できる生分解性電子機器の需要が高まっており、研究チームは紙を活用した生分解性電子機器の開発に取り組んでいる。

紙を電子機器に使用する場合、最大の問題点は、多孔性と表面の粗さの多い材質にある。従来のPapertronicsには、電子部品を貼り付けたラミネート紙が使われてきた。同手法は、紙の柔軟性を維持するが、材質を十分に活かしきれない。

そこで研究チームは、機能性インクとインクを紙内に分散させる毛細管現象、回路の境界を形成する疎水性ワックスパターンを組み合わせ、紙の材質を生かす回路を開発した。さらに、Papertronicsの部品性能を予測/向上させるための機械学習アルゴリズムを使用した。

開発したPapertronicsには、調整可能な抵抗器とコンデンサー、トランジスタが、全て1枚の紙基板に統合されており、完全な紙回路を構成している。折り畳みや積み重ねが可能であるため、多層プリント回路基板が製造できる。さらに、生分解性を有し、環境に害を与える化学物質を含有しない。

研究チームは現在、Papertronicsを普及させる研究準備に取り掛かっている。ビンガムトン大学のSeokheun Choi教授は、「長期使用に耐えるには、デバイスを密閉する包装技術が必要になります」と説明した。現在、インダクターやダイオード、ディスプレイなどの電子部品も作製しており、密度と性能の改善も必要だと考えているという。

関連情報

New ‘papertronics’ offer biodegradable alternative to traditional circuits | Binghamton News

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