折り曲げられるペロブスカイト太陽電池――22.8%の光電変換効率を達成

中国の寧波材料技術工程研究所の研究チームが、22.8%の高効率を持つと共に、フレキシブルで耐久性の高いペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池セルを開発した。シリコンセルを超薄の約30μmの厚さとし、また光吸収テクスチャの形状サイズを低減することにより、光吸収能力を損なうことなくシリコンセルのフレキシビリティを向上し、タンデム型太陽電池セル全体のフレキシビリティを向上した。屋外エリアの照明や窓に取り付ける電源など、さまざまな分野における広汎な応用の道を開くと期待している。研究成果が、2024年6月30日に『Science Bulletin』誌に公開されている。

ペロブスカイト半導体は簡便な塗布プロセスなど安価な溶液法で作製できるとともに、22%を超える高い光電変換効率を持ち、次世代の太陽電池材料として高い注目を集め、世界中で研究開発が進められている。また、異なる光吸収特性を持つセル材料を組み合わせて、太陽光の全ての波長を最大限に活用するペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池セルの研究が進められ、これまでに最大33.9%の光電変換効率が達成されている。だが、ペロブスカイト材料はフレキシブルであるものの、超薄の底部シリコンセルについては、光吸収特性を損なうことなくフレキシビリティを向上するのが非常に難しい。

研究チームは、ペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池セルにおいて、光吸収特性を損なうことなく、セル全体のフレキシビリティ向上にチャレンジした。シリコンウェハーの厚さを低減して、厚さ約30μmの超薄シリコンセルを得ると共に、光吸収テクスチャの形状サイズを低減した。加えて上部ペロブスカイトセルの表面被覆を適正化して、材料の機械的耐久性を改善した。その結果、太陽電池セル表面を破損することなく、高いフレキシビリティおよび耐久性を維持することに成功した。特性試験において、光電変換効率として22.8%を達成することが実証された。これは、フレキシブルなペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池セルとしては最高記録だとしている。さらに、3.12W/gの極めて高い電力重量比を示すとともに、3000回の半径1cm曲げサイクル後も、初期光電変換効率の98.2%を維持することが確認された。

研究チームは、「実用性の高いフレキシブルなペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池セルを実現できた。屋外エリアの照明、窓に取付ける電源、船舶における太陽電池パネルなど、さまざまな分野における広汎な応用の道を開くとともに、新しく達成された光電変換効率の記録は、技術開発の新しい目標となり、技術発展に向けた大きなステップとなる」と期待している。

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Ultrathin (∼30 µm) flexible monolithic perovskite/silicon tandem solar cell

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