自己放電を抑制することで、長期運転が可能なフローレス亜鉛臭素電池を開発

韓国光州科学技術院は2024年7月15日、自己放電現象を抑制し、1万サイクル以上の長期運転を可能にする、実用的なフローレス亜鉛臭素電池(FLZBB)を開発したと発表した。

近年、化石燃料から太陽光発電や風力発電などの持続可能な再生可能エネルギーへの移行が進んでいる。しかし、再生可能エネルギーは、不安定な発電量と不定期な供給という重大な弱点を持つ。そこで、重要となるのがエネルギー貯蔵システムだ。エネルギー貯蔵システムの代表格にリチウムイオン電池があるが、可燃性の電解液による発火の危険性が問題となっている。

一方、不燃性電解質を使用するFLZBBは、安全性に加え、シンプルな設計と高い費用対効果を見込めるため、リチウムイオン電池を代替する蓄電池として注目されている。FLZBBは、正極と負極、電解液、電極を分離するセパレーターで構成される。従来のフロー型亜鉛臭素電池と異なり、電解液をポンプで送る代わりに容器に保持する。正極のグラファイトフェルトは、酸性電解液に安定であり、多くのレドックスフロー電池に使用されている。

しかし、充電時のFLZBBでは、正極内で形成される臭化物イオンなどの活物質がセパレーターを透過して負極に移動し、自己放電を引き起こして電池の性能と寿命を低下させる。

そこで、研究チームは自己放電を抑制する窒素ドープメソポーラスカーボンで正極を被覆した電極を開発した。メソポーラス内の窒素サイトが活物質を捕捉し、自己放電を抑制した。さらに、被覆材は、電極の親水性を高め、水性電解質との接触を改善し、性能の向上に貢献した。

同被覆電極を使用したFLZBBは、電流密度20mA/cm2で、充放電効率96%とエネルギー効率76%、面容量2mAh/cm2を達成し、1万サイクル以上の安定した充放電サイクルを示した。実用的なFLZBBは、より安全なエネルギー貯蔵システムを可能にし、再生可能エネルギーの普及に貢献できる。

同研究成果は2024年6月15日、「Chemical Engineering Journal」に掲載された。

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