海上でグリーン水素を製造する帆船の開発に約8億9000万円を調達 英DRIFT Energy

イギリスのスタートアップDRIFT Energyは2024年8月16日、外洋の強風を利用して海上でグリーン水素を製造する高性能帆船の開発に関して、この度のシードラウンドで465万ポンド(約8億9000万円)を調達したと発表した。

現在、重工業、運輸、製造などの分野で脱炭素化を加速させるためにクリーンな水素への需要が高まっている。水素を製造する最も一般的で安価な手法は、天然ガスからの水蒸気メタン改質(steam methane reforming : SMR)だ。この手法によるグレー水素に比べ、再生可能エネルギーを使い電気分解によって製造するグリーン水素は、二酸化炭素排出量がはるかに少ない。

そこでDRIFT Energyは、高性能帆船を用いて外洋の強風を利用し、海上でグリーン水素を製造することを考えた。

DRIFT船は、船団を作って世界中の貿易風を巡り航行することで、水中タービンからエネルギーを収集する。このエネルギーは船上のメガワット級電気分解槽に供給され、ギガワット規模のグリーン水素を生産し貯蔵する。水素はISO標準の40フィート(約12m)コンテナに貯蔵され、陸に揚げるか、船つき場までポンプで汲み上げる。停泊中の他の船に直接供給することも可能だ。将来的には洋上補給も視野に入れている。また、DRIFT船はAIルーティングアルゴリズムを用い、最適な気象条件で航行し、水素タンクが満タンになった瞬間に港に戻るようになっている。

DRIFT Energyは、このような帆船を配備し、世界中にグリーン水素を供給することで、世界的なクリーンエネルギーへの移行を目指している。

今回の新たな資金調達は、初のグリーン水素製造船であるDRIFT船を開発、建造するための重要なステップとなる。DRIFT Energyは今回得た資金を、同社の船舶設計プログラムの強化やチームの成長支援、新たなパートナーを迎えるために使用すると述べた。これらにより、2025年に予定されている最初の起工に向けた準備が進められる。

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