- 2020-9-23
- REPORT, 電気・電子系
- AI, CAD, IoT, OJT, アナログ回路, エレクトロニクスエンジニア, デジタル回路, 回路シミュレーター, 回路設計エンジニア, 電子回路
スマートフォンや家電製品、精密機械、航空機、ロボットなど、電気・電子機器にとって電子回路は必要不可欠なパーツです。その設計・開発を行うのが回路設計エンジニアです。
IoTやAIが製造業に新たな波を起こすと言われている現代において、回路設計エンジニアの需要は高まりつつあります。そこで本記事では、回路設計の仕事内容や年収相場、やりがいや難しさ、目指すポイントについて解説していきます。(fabcross for エンジニア編集部)
回路設計の仕事内容
まずは回路設計の仕事内容について、概要から見ていきましょう。加えて、気になる回路設計者の年収相場についてもご紹介します。
回路設計の主な仕事内容
回路設計とは、電子機器内部にある電子回路の設計をする仕事です。エレクトロニクスエンジニアと呼ばれることもあります。
電子回路はデジタル回路とアナログ回路の2つに大別され、仕組みには大きな違いがあります。そのため、電子回路エンジニアはいずれかをコアスキルとする傾向にあります。
デジタル化が進む現代では、デジタル回路設計のほうが重要視されているイメージをお持ちの方もいるでしょう。しかし、デジタル回路とアナログ回路のどちらかが優れている、ということはありません。むしろ、近年のIoT市場では、モノに組み込まれるアナログ回路こそが重要であるケースも多いです。
ものづくりにおいてはいずれも重要な技術であり、必要とされる職種です。もちろん、両方の技術を習得しておくと、活躍の場はより広がります。
回路設計者の年収相場
回路設計者の平均年収は610.4万円です。月収は約41.9万円という金額ですから、まずまずの好待遇です。たとえば機械エンジニアの年収目安が546万円ですから、近しい業種のなかでも回路設計者は比較的高収入と言えるでしょう。
なお、国税庁の民間給与実態統計調査結果によれば、平成30年の日本人の平均年収は441万円でした。この金額に比べれば、回路設計者の年収はかなり高いと考えられます。
もちろん、高度な専門知識を身につければその分の手当がつく可能性もあります。重要な製品の設計などに携われるようになれば、やりがいもさらに感じられるでしょう。また、管理職ともなればさらなる年収アップも見込めます。
回路設計の仕事のやりがいと難しさ
回路設計の仕事には大きなやりがいと喜びがあります。一方、専門的な仕事であるがゆえの難しさも知っておきましょう。
回路設計のやりがい
回路設計はモノづくりの根幹部分。自分の手とアイデアで作り上げた製品が実際に動く瞬間には、何度であってもやりがいを感じられるはずです。回路設計のやりがいを見ていきましょう。
製品開発の根幹を担える
電子機器を動かす上で、回路は心臓とも言える部品です。身近な家電製品はもちろん、スマートフォンやコンピューターなどの精密機器、さらには医療や自動車、航空宇宙に至る分野まで、回路設計なしに電子機器は動作しません。製品開発においても、回路設計は重要な役割を担います。
「この機械は、自分の回路設計によって動いているんだ」という実感は、やりがいにつながるでしょう。さらに、その製品が実際に活躍するところを自身の目で確認できたときには、大きな感動や喜びを感じられるはずです。
自分が考えたアイデアが製品に生かされる
近年の電化製品は性能向上、小型・省電力化が求められます。その実現には、回路設計者の力が必要です。
改善には、ムダを省いたりブラッシュアップをしたりといった手法はもちろん、既存の枠組みにとらわれない発想が必要になる場面も少なくありません。こうした“閃き”を設計に生かせるのはモノづくりにおける醍醐味のひとつ。自分のアイデアを形にしてく楽しさを感じられるでしょう。
回路設計の難しさ
モノづくりのやりがいを感じられる回路設計ですが、もちろん努力を必要とする場面も少なくありません。
回路理論や電磁気学、制御工学など、回路設計をする上では専門性の高い知識が求められます。さまざまな技術の応用も多いため、常に関連知識の勉強が必要です。とくに、IoTなどの台頭で電子回路の組み込み対象は多様化し、かつ技術も進歩し続けています。論文や最新技術関連の情報をキャッチアップし、自ら成長していかなければなりません。
また、回路設計の現場では、理論上は正しいのに実機がうまく動作しないケースにもよく出くわします。問題の箇所を探し当てるのには、経験や直観も大事です。知識だけではなく、現場での学びも続けなくてはなりません。
回路設計者を目指すポイント
回路設計エンジニアになるためには、専門知識や資格・スキルの習得が大切です。その上で、就職・転職サイトやエージェントを上手に活用していきましょう。
教育機関で専門知識を学ぶ
回路設計の現場に出るためには、事前に必要な知識を習得しておく必要があります。多くの企業では研修やOJTなどで業務を教えてくれますが、それでも最低限の基礎知識がなければ、仕事についていけないおそれがあるからです。
実際、回路設計の求人に応募するのは理系大学卒業者や、エレクトロニクスエンジニアリングの経験者など、すでにある程度の知識と経験を持つ人が多い傾向にあります。企業としても、それを前提に募集をかけていると考えましょう。
そのため、回路設計に関する知識・経験がない方ははじめに理系の大学や専門学校などの教育機関・スクールに通うのが望ましいと言えます。専門知識の習得が、回路設計エンジニアの第一歩です。
回路設計に生かせる資格やスキルを取得する
資格取得は回路設計に関する知識を身に着けられることに加え、専門性の高さを企業にアピールすることにも役立ちます。たとえばEMC設計技術者試験や情報処理技術者試験など、業界で知られている資格の取得歴を履歴書に記載すれば、客観的にスキルを証明できるでしょう。
そのほか、関連するソフトウェアの操作方法習得もアピールポイントとして提示できる場合があります。CADや回路シミュレーターなど、電子回路設計で使うであろうツールには普段から慣れ親しんでおきましょう。また、CAD利用技術者試験といった、ソフトウェアに関連した資格を取得するのもおすすめです。
回路設計の求人が豊富な転職サイトやエージェントを活用する
十分な知識・スキルを持っていたとしても、それを必要とする企業の採用情報にたどり着けなければ就活成功とは言えません。そこで、回路設計などのエンジニアの求人に特化した転職サイトの利用を検討しましょう。
事業内容や仕事内容、待遇はもちろん、大切なのはその企業がどのようなモノづくりをしているかです。企業研究をしつつ、気になるところがあれば応募してみましょう。
ただし、数多くの求人のなかから、自分の希望条件にぴったりの情報を見つけるのは容易ではありません。そこで活用したいのが転職エージェントです。登録をすることで、事前に伝えた希望条件を考慮した求人の紹介をしてもらえます。
なお、履歴書・職務経歴書の添削や面接指導、入社試験後の企業側へのフォローなど、転職活動のサポートが受けられるのも、転職エージェントを使うメリットのひとつです。
ニーズの高まる回路設計エンジニア
回路設計の仕事は専門性が高く、自ら成長し続ける姿勢も求められます。しかし、モノづくりの最前線とも言える業務では、大きなやりがいも感じられるでしょう。
製造業のなかでもニーズが上昇傾向にある職種ですから、求人も少なくはありません。就職・転職サイト・エージェントをうまく活用しながら、ご自身にぴったりな募集を探しましょう。