回路設計エンジニアの転職は難しくない?回路設計エンジニアの転職成功のカギを徹底解説!

回路設計エンジニアは転職が難しいという話をよく耳にします。経験が大事、年齢が重要などと言われていますが、実際のところ、転職に必要となる条件はどんなものなのでしょうか。今回は回路設計エンジニアの転職情報を詳しく解説します。

回路設計エンジニアの転職が難しい理由

回路設計エンジニアは転職が難しいという声を耳にします。どういった要因が転職を難しくさせているのでしょうか。

景気の影響

景気が悪くなると、企業は採用数を抑制する傾向があります。2020年のコロナショック以降の数年間、景気は落ち込んでいました。それに伴い、有効求人倍率も大きく下がってしまったのです。例に違わず回路設計エンジニアの求人も減りました。

2022年からは景気は持ち直しつつあり、求人も増える兆しはありますが、コロナショック前までの水準にはまだ及びません。

未経験・経験不足での転職

回路設計エンジニアは未経験で採用されるのは難しい職業といえます。

設計ができるためには、仕様を満足する回路を発案できる必要があり、加えて、その発案回路を、計測器を使って実験・評価できることが求められるためです。さらに、発案した回路にどのメーカーの部品を選定すれば、信頼性を高くすることができるかについても対応が求められます。回路設計という職業は、知識や経験が重要視されるといわれる所以はこの点にあります。

しかし、未経験者や経験が浅い人でも採用されるケースがあるようです。

回路設計業務が分業化されていて、入社後でも任せられる業務がある場合や、大学や高等専門学校(高専)などで電気関連の学科を卒業していれば、育成を前提に採用するケースも見受けられます。

コミュニケーション不足

回路設計の仕事はコミュニケーション能力が必要です。回路設計を行うためには、商品として販売できるように、仕様、コスト、納期などについて各担当者と話し合います。自分の意見を伝えたり、他の担当者の意見を取り入れたりして、一つのチームとなって製品の完成に向かっていくのです。そのためにはコミュニケーション能力が欠かせませんが、面接などで能力に欠けていると判断されると、採用までたどり着けない場合があります。

転職希望先とのミスマッチ

回路設計の経験があっても、企業が求める技術に見合っていない場合は、採用を見送られることがあります。

回路にはデジタル回路もあれば、アナログ回路もあり、高電圧、高電流の変電設備も回路、微弱な電流を扱うセンサ製品も回路と、その用途が多岐にわたり、必要とされる技術要素も異なります。しかし、企業の求人票では、単純に回路設計経験者を求めるといった記載になっていて、自身の経験が企業の求める経験に合致するかを判断できないことがあります。

面接で経験を聞くと、マッチしているとはいえず、なかなか採用が進まないことを懸念している企業もあるようです。

非公開求人にアクセスできていない

非公開の求人を探すことができていないため、転職のチャンスを逃している場合があります。非公開の求人とは、主に転職エージェントが保有している求人です。転職エージェントを通す求人は大手企業など人気の企業からの求人の場合が多く、人気があるがゆえに応募が殺到することを避けるために、あえて非公開という方法を選択しています。転職を考える際は、転職エージェントに登録することを忘れないようにしましょう。

年齢が高い

未経験で年齢が高いと転職が難しくなることがあります。理由としては、新しく覚えなければならない知識の量が多いこと、上司が年下になり人間関係が構築しづらくなる、給与が安くなったりする、などの理由が挙げられます。

回路設計エンジニアがきつい、辞めたい理由

回路設計エンジニアが、仕事をきつく感じる、辞めたくなる理由は何なのでしょうか?ネガティブな要素もポジティブな要素もあるようです。

専門性が高い

回路設計は、エンジニアの仕事の中でも特に専門性の高い職業です。大学で電気工学を学んだ上で就職しても、新たに知識を増やしていかなければならず、電子回路やCAD、そして制御工学などといった専門知識を学び、身に付けていかなければならないのです。

仕事帰りや休日などにも、学習時間を作っていかないと仕事についていけなくなる可能性もあり、これが、仕事がきついと言われる要因となっています。

調整力が必要

回路設計エンジニアは、関係する人々の意見を取り入れながら設計を行います。クライアントから完成品の構想を聞くほか、自社の営業や機械設計者、デザイナーなどからコストや材料、デザインの意見を取り入れながら仕事を進めていきます。

クライアントの希望に寄り添うためには、何を重視して何が削れるかなどの調整を行わなければなりません。そして関わる人たちの納得感が得られる内容にしたり、説明をしたりする必要があります。こうした調整力やコミュニケーション能力が必要となってくるだけに、ストレスを感じる方も多いのでしょう。

納期に追われる

回路設計の仕事には納期が存在します。納期までの日数が少なければ、残業するなどして間に合わせなければなりません。開発サイクルの早い商品を取り扱っている場合は、常に納期が迫ってくる感覚があり、落ち着かない日々が続きます。そして、設計途中で問題が見つかれば修正を行わなければならず、時間に追われ、それがストレスになるのです。

感覚に頼る面がある

回路設計には、デジタル回路設計とアナログ回路設計があります。

デジタル回路設計は、ソフトウェアの計算通りに設計を進めれば、思うように作業が進むのですが、信号処理の高速化が進むことでその難易度は上がっており、経験が必要とされる領域も増えています。

アナログ回路設計は、気温、湿度などの環境条件を含めた様々な条件下で回路が動作するので、再現性・信頼性のある回路を設計することが難しく、シミュレーションツールも精度が向上していますが、まだ、経験や感覚が必要とされることがあり、苦手と感じる人には辛い作業となるかもしれません。

職場環境や雇用条件に不満がある

職場環境や雇用条件に不満があると、仕事を辞めたい気持ちが芽生えてきます。

職場環境への不満は、主に人間関係や残業時間のことです。人間関係の不満は回路設計の仕事にかかわらず、どのような職場でも起こりうる問題で、他部署への異動があれば解消されますが、異動できる部署が限られる場合は、問題解消に至らない場合があります。

残業時間は仕事量の多い場合はともかく、経験不足の人が多く、非効率な仕事の仕方になっていて残業が常態化している、残業するのが当たり前といった雰囲気の職場の場合はストレスがたまっていくでしょう。

雇用条件は給与面や有給取得の可否という点です。多忙な上、給与面にその多忙さが反映されていない場合は不満が募ります。有給取得は労働者の権利ではあるものの、取得しにくいとなるとストレスの元となるでしょう。

より高い技術力を身に付けたい

回路設計の仕事もレベルが様々です。就いた仕事が簡単な業務で、いつまでもそれ以上のレベルの仕事を任せられないことから、ステップアップするために転職したいというケースもあります。

稼げる能力を身に付けて、一人前に仕事を任せてもらえるようになりたい希望があるものの、常に同じレベルの業務に携わっている場合があります。しかし、多忙な職場では、新しいことを教えてもらえる余裕がないことも考えられます。こうなると、自分のキャリアは大丈夫なのかという不安がよぎり、キャリアアップできる環境を求めて転職したいという気持ちになっていくのです。

回路設計エンジニアの転職成功のコツ

回路設計エンジニアの転職を成功させるには、どんなことを大事にして選考に挑まなければならないのでしょうか?ここに成功へのヒントが隠されているので、是非参考にしてください。

経験や実績をアピールする

転職活動では、自身が培ってきた経験や実績を積極的にアピールしていきましょう。採用側は、自信を持ってアピールしてきてくれる人を採用したくなるからです。経験や実績をアピールする場合は、エピソードを交えたり、具体的な数字をあげたりするようにしましょう。採用側は具体的な話を耳にすると、入社後にどのような活躍をしてくれるのかイメージが湧きやすくなります。

自分に合った転職先を探す

回路設計の転職ではミスマッチが起きることがあります。

一口に回路設計といっても、デジタル・アナログの分類だけでは、ミスマッチを防ぐことはできませんが、求人企業の製品を分析すれば、どのような領域の経験が役に立つかは判断ができそうです。ただ、現在の製品は多様な技術が搭載されているので、その経験合致度を判断するための方法としては、職務経歴書に自身の保有技術を列記しておき、応募企業に対して経験技術を示すことが挙げられます。

早く動き出す

回路設計に限らず、転職活動は早く動き出す方が有利です。採用する側は、知識の習得が早い、人間関係を構築しやすい、人件費が少なく済むなどといった理由から、若い人を採用する傾向があります。回路設計の場合は経験がものを言う職業なので、実績がある場合はある程度の年齢でも採用される場合がありますが、実績が少ない者同士だと若い人が優先して採用されるでしょう。

スキルの棚下ろしをする

求人に応募する際は、履歴書や職務経歴書、面接時などで自身のアピールポイントを記入したり、発言することになります。今まで仕事を通じてどんなスキルを培ってきたか、どのような実績を残してきたかをおさらいしておきましょう。そして頭の中で整理しておいて、面接では手にしたスキルを、分かりやすく簡潔に、かつ面接官の心に残るような内容が発言できるように準備しておくことが大事です。

年齢が高いなら技術・熟練度をアピールする

前項で年齢が高い場合は転職が難しいという話をしました。たしかに年齢が高い場合は新たな知識を習得できるのか、新たな職場に馴染めるのかなどという点を疑問視されて敬遠されがちです。しかし、全く企業が年齢の高い人を求めていないかといえばそうではありません。年齢が高い人は、高い技術や熟練されたノウハウ、そしてマネジメント能力を評価されて採用される場合があります。年齢の高い人は、それらをアピールすることで採用を勝ち取りましょう。

面接練習する

書類選考はすんなり通るが面接で落ちる、ということはよくあります。面接では志望動機などを口にしてもらって入社したい熱を持っているか、実際にコミュニケーションを取ることで会社に馴染めそうかなどを見られるのです。そして、それらの発言への準備をしているか採用側は分かりますし、質問に対して返答できないと採用は遠ざかってしまいます。面接のパターンは決まっているので、発言する内容を事前に考えておくことはもちろん、その内容を実際に口に出して面接本番でスムーズにしゃべれるようにしておきましょう。

資格取得する

回路設計エンジニアという仕事は、専門性が高い職業でありながら、業務で必須の資格は存在しません。しかし、即戦力の採用において知識レベルを確認したい会社や、特定の知識を求めている会社の就職には有利といえるでしょう。

第一級陸上無線技術士

第一級陸上無線技術士は、陸上に設置された無線局の無線設備における技術的な操作ができることを認める資格です。すべての回路設計の仕事に結びつく資格ではありませんが、テレビ局の中継局や携帯電話の基地局などの回路設計に関わる場合は、持っていれば役に立つ資格です。そして第一級陸上無線技術士を持っていれば、回路設計以外の職種に転職する場合でも、有利になることがあるでしょう。

EMC設計技術者資格検定

EMC設計技術者資格は、海外にも通用する回路設計の仕事を行うのに有利な資格です。アメリカiNARTEとKEC関西電子工業振興センターが共同で運行しており、「EMCデザインエンジニア」と呼ばれます。

プリント基板、電子機器、電気電子回路の設計に携わるエンジニアを対象とした資格となっています。EMC設計技術者資格は高度な回路設計の能力を備えている証明であり、技術力強化や育成が課題となっている企業には重宝されています。

E検定

E検定は、電気・電子系技術者育成協議会が主催する「電気・電子系技術検定試験」のことです。若手から中堅エンジニアまでを対象としており、電気・電子系エンジニアのスキルや幅広い知識を測定する試験となっています。電気回路や電子回路、半導体やコンピューターから設計・測定と、エレクトロニクスに関わる広い範囲で技術の測定を相対評価するのです。

まとめ

今回は、回路設計エンジニアの転職についてお話ししてきました。回路設計エンジニアは転職が難しいと言われ、経験や実績が無いと厳しいイメージがあります。しかし、ポイントをしっかり押さえておけば、採用への道は見えてきます。今回ご紹介した転職へのポイントを把握して、将来の明るい回路設計エンジニアを目指していきましょう。

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