半導体業界の仕事内容とは? 未経験者向けに分かりやすく解説

世界半導体市場統計(WSTS)の「2024年春季半導体市場予測」によると、2024年の世界半導体市場規模は6112億3100万ドル(約94兆4000億円)と予測されています。この数字は前年比16.0%増で、2025年も12.5%増と2桁成長が続く見込みです。

この急成長している半導体業界に興味や関心はあるものの、その仕事内容はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、半導体関連の企業や仕事の種類、半導体業界で仕事をするのに向いている人などを解説します。どうぞご覧ください。

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半導体とは

半導体とは、鉄やアルミニウムなどの電気を通しやすい「導体」と、ゴムやガラスなど電気をほぼ通さない「絶縁体」の中間に位置する物質です。

最もよく利用されている半導体はシリコン(Si)で、他にもゲルマニウム(Ge)やセレン(Se)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)などがあります。

条件によって電気を通したり、通さなかったりする半導体は、トランジスタやダイオードとして利用でき、それらを小さなチップに集積したものがIC(集積回路)です。このICはパソコンやスマートフォン、テレビ、冷蔵庫、自動車など、身の回りのさまざまな製品に使われています。

そして、今はさまざまな製品のモノのインターネット(IoT)化が進み、人工知能(AI)などの発展も著しい時代です。半導体の需要はますます高まるため、これからも半導体業界は拡大成長していくでしょう。

半導体業界の特徴――4つの企業群

半導体材料メーカー

半導体製品の製造には、シリコンウエハーやフォトマスク、フォトレジスト、薬液、ガス、スラリー、スパッタリングターゲット、リードフレーム、モールド樹脂、セラミックパッケージ、基板など、さまざまな材料が必要です。これらの材料を供給するのが「半導体材料メーカー」です。

富士経済の「半導体材料の世界市場を調査」によると、2024年における半導体材料の世界市場は470億ドル(約7兆2500億円)に達する見込みで、2029年には583億ドル(約8兆9900億円)規模になると予測されています。

半導体製造メーカー

半導体製造メーカーは、「IDM(Integrated Device Manufacturer)」「ファブレス」「ファウンドリ」「OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)」の4つに大きく分けられます。

IDMは、企画や開発、製造、販売などを自社で一貫して行っているメーカーです。ファブレスは、ファブと呼ばれる製造工場を持ちません。そのため、企画や開発、販売は自社でしますが、製造はウエハー製造を専門とするファウンドリや、組み付けと検査に特化したOSATに委託します。

半導体製造装置メーカー

半導体製造は、大きく「前工程」と「後工程」に分けられます。前工程には「洗浄」「フォトリソグラフィ」「エッチング」「成膜」「イオン注入」「平坦化」、後工程には「ダイシング」「ダイボンディング」「ワイヤーボンディング」「モールド」「検査」など、さまざまな工程が存在します。

そして、各工程に対応した装置を提供するのが「半導体製造装置メーカー」です。各メーカーは、それぞれの得意分野を生かして装置開発をしています。

半導体商社

半導体商社は、半導体製品を製造する「メーカー」と使用する「顧客」をつなぐ役割を担います。半導体製品を使用する顧客には、電機や機械、自動車などのメーカーが挙げられます。

半導体製品は多種多様なため、最適な製品の選定や、複数の取引先とのやり取り、納期の管理などが負担になりがちです。顧客は半導体商社を利用することで、これらの業務を効率良く進められます。

顧客の技術的な課題を解決できる半導体製品を買い付けて販売する必要があるため、半導体商社には半導体に関する幅広い専門知識が求められます。

半導体業界の仕事の種類

半導体業界の仕事は、技術系の仕事ばかりではありません。他の業界と同じように事務系の仕事も存在します。そのため、半導体に興味や関心のある人なら、理系出身者でも文系出身者でも半導体業界で仕事をするチャンスはあります。

ここでは半導体業界の仕事の中から、以下の職種を解説します。

1. 研究開発、設計
2. 検証、評価
3. 営業
4. 資材、ツール調達

それぞれ見ていきましょう。

1. 研究開発、設計

半導体技術や製品性能は、日進月歩で発展しています。それを支えているのが「研究開発」や「設計」の仕事です。半導体材料メーカー、半導体製造メーカー、半導体製造装置メーカー各社は、次世代半導体製品のための研究開発や設計に精力的に取り組んでいます。

常に新しい知識や技術をキャッチアップしながら、最先端のものづくりに携わりたい人には最適な仕事でしょう。市場や顧客のニーズに応えるには、性能の高さだけでなくコストも考慮する必要があります。

2. 検証、評価

安全で高品質なものづくりに欠かせないのが「検証」や「評価」です。半導体製造メーカーは、不具合を発生させる製品が市場に流れないようにしなければなりません。半導体製造装置メーカーは、顧客が求める製品を高い歩留まりで生産できる装置を提供する必要があります。

そのために不可欠なのが、ハード評価やプロセス評価、検証といったテスト業務です。研究開発や設計のエンジニアに比べ、テストエンジニアは未経験でもチャレンジしやすい傾向があります。

3. 営業

いくら良い製品を作っても売れなければ意味がないため、どの企業にも必要とされるのが「営業」です。技術系の仕事は、理系出身であることを必須とする企業が多く見られますが、営業は事務系の仕事に分類されるため、文系出身者でも挑戦できます。

ただ、営業する相手は一般消費者ではなく、半導体業界の企業です。自社や他社のエンジニアとコミュニケーションを取りながら仕事を進めることが多いため、それなりの専門知識が求められます。

4. 資材、ツール調達

半導体製品を作るための資材やツールを「調達」する仕事も必要です。資材やツールの調達は、営業と同じく事務系の仕事に分類されるため、文系出身者でもチャレンジできます。

いくら営業が頑張って製品を売っても、資材やツールの仕入れコストが高ければ利益は少なくなります。そのため調達の仕事は、顧客が求める製品を製造するための高品質な資材やツールをただ確保するだけでなく、いかにコストを抑えて仕入れられるかが重要です。

半導体業界が向いている人

これからますます成長が期待される半導体業界ですが、「伸びている業界だから」という理由だけで安易に選ぶと、ミスマッチが起きる可能性があります。ミスマッチを防ぐためには、ご自身の資質や特性にあった仕事選びが大切です。

ここでは半導体業界が向いている人の特徴として、以下の4つを解説します。

1. 海外とのやり取りが苦ではない人
2. 最新のテクノロジーやトレンドに強い好奇心を持つ人
3. 几帳面で細かい仕事ができる人
4. コミュニケーション能力がある人

それぞれ見ていきましょう。

1. 海外とのやり取りが苦ではない人

経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」(令和5年6月)によると、「主要半導体部素材 各国シェア」は日本が48%でトップ。「半導体製造装置 各国シェア」は、1位アメリカの35%に次いで、日本は31%を占めています。

とはいえ、その半導体部素材や半導体製造装置を使用する半導体製造メーカーは、アメリカや台湾、韓国といった海外勢が目立ちます。そのため、半導体業界の仕事は、海外とのやり取りが苦ではない人が向いています。

2. 最新のテクノロジーやトレンドに強い好奇心を持つ人

半導体業界は技術革新のスピードが非常に速いため、最新のテクノロジーやトレンドに強い好奇心を持つ人が向いています。技術系でも事務系でも、最先端技術にアンテナを張ってキャッチアップするとともに、市場の最新トレンドにも敏感であることが求められます。

顧客はいま何を必要としているのか、どのような製品を作ればもっと便利な世の中になるのかを考えられる人は、半導体業界でやりがいを感じることができるでしょう。

3. 几帳面で細かい仕事ができる人

半導体プロセスは微細化が進み、いまや最先端の開発は2nm(ナノメートル)世代になっています。1nmは10億分の1メートルで、これは毛髪1本の太さの約10万分の1という細さです。将来的にはÅ(オングストローム)の世代になると見込まれています。1Åは0.1nmで、水素原子の直径とほぼ同じサイズです。

このようなミクロの世界を取り扱うため、半導体の研究開発や設計、検証、評価などは、几帳面で細かい仕事のできる人が向いています。

4. コミュニケーション能力がある人

半導体製品は、1人で黙々と作業をして作れるものではありません。製品の開発から提供までのさまざまな工程に、多くの人が関わります。そのため、営業や調達の仕事はもちろん、研究開発や設計、検証、評価などの業務でも、コミュニケーション能力は必要です。

コミュニケーション能力が高ければ、チーム間や顧客との連携が良くなるため、より課題解決や改善がしやすくなります。ソフトスキルとして、最も求められる能力といっても良いでしょう。

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未経験者にとって、半導体業界への転職はハードルが高いかもしれません。しかし、コンサルタントに相談すれば、思わぬキャリアパスが見つかる可能性があります。半導体業界の求人を見て「私には無理だ」と諦める前に、ぜひ一度キャリア相談されることをお勧めします。


まとめ

半導体業界の特徴や仕事の種類、向いている人などを解説しました。

半導体業界はこれからも拡大成長することが見込まれ、半導体材料メーカーや半導体製造メーカー、半導体製造装置メーカー、半導体商社など、転職の選択肢も多岐にわたります。技術系だけでなく事務系の仕事もあるため、理系出身者はもちろん文系出身者でも半導体業界に転職できるチャンスはあります。

半導体業界の仕事に興味や関心のあるエンジニアは、ぜひメイテックネクストにお問い合わせください。

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fabcross for エンジニア 編集部

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