- 2025-3-5
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- キラオーパス, ソフトフェライト, ノイズ抑制材, 三洋化成工業, 低誘電率, 封止材, 戸田工業, 放熱, 熱伝導性, 界面制御, 磁性ウレタン樹脂, 給電部材

三洋化成工業は2025年3月3日、2液硬化型の磁性ウレタン樹脂「キラオーパス」を戸田工業と共同開発したと発表した。商用化に向けたサンプル提供を開始している。
同樹脂は、三洋化成の界面制御技術を用いて、戸田工業のソフトフェライト粉末などをウレタン樹脂中に高濃度に分散したものだ。ソフトフェライト粉末がノイズの磁場成分を吸収するため、電子機器の内部および外部のノイズ干渉を薄膜でも効果的に低減できる。
KHz〜MHzの低周波帯からGHzの高周波帯まで対応可能で、特に、Ni-Zn系の低誘電率グレードが高周波帯での使用に適している。

透磁率との周波数特性

誘電率の周波数特性
高熱伝導性を有するグレードでは、熱伝導率が2.0W/m・Kに達した。放熱性が重要となる用途に適する。また、既存のシート状材料と比較してペースト充填時に空隙ができにくく、効率の良い放熱が可能となっている。

透磁率と熱伝導率の特性
硬化前はペースト状となっており、流動性に優れる。既存のシート状ノイズ低減材とは異なり、微細な隙間にも容易に充填可能だ。
さらに、室温下でも24時間で硬化する。高温加熱が不要なため、熱に弱い部品や基板へのダメージを抑制できるほか、エネルギーコストの低減にも寄与する。
硬化物は電気絶縁性を有しており(電気抵抗率:107Ω・cm)、接点障害の原因となりうるシロキサン成分を含まないため、さまざまな電気電子部品への注型や封止に適する。電子機器の薄型化や小型化、安定動作、ノイズ低減、通信品質の向上などへの寄与が期待される。
非接触給電部材や巻線インダクターの封止材、電源回路、モーター制御回路および通信回路などのノイズ抑制材といった用途に適する。
両社は今後、製品ラインアップのさらなる拡充や技術開発を計画している。
関連情報
戸田工業と三洋化成、電子機器の熱・電磁ノイズ(EMI)対策に適した2液硬化型磁性ウレタン樹脂を共同開発―電子機器の小型・薄型化、ノイズの低減、安定動作に貢献— – 三洋化成