- 2025-3-19
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産業技術総合研究所（産総研）は2025年3月17日、清水建設と共同で、低コストかつ高性能な水素吸蔵合金タンクを開発したと発表した。
水素はエネルギーを得るにあたって二酸化炭素を排出しないことから、次世代エネルギーシステムでの活用が期待されている。活用の推進にあたって必要となるのが、水素の製造および貯蔵に要するコストの削減だ。
水素吸蔵合金タンクは安全性に優れており、長期間安定して水素を貯蔵可能なため、都市部においても大量の水素を貯蔵できる。一方で、製造した水素をおよそ1時間程度と迅速に水素吸蔵合金タンクに充填することが、高圧ガス保安法において定められている。
水素吸蔵合金タンクへ迅速に水素を充填、放出するにあたっては、高度な熱管理が求められる。専用の熱交換部品が必要となり、水素吸蔵合金タンクの製造コストを押し上げることが課題となっていた。
両者は今回、空調機器などで用いられる汎用熱交換器を水素吸蔵合金タンクに転用した。熱媒シミュレーションを用いて、熱媒流路をコントロールする仕組みを構築したことにより、汎用熱交換器製品を一般的に使用する際のスペックの設計下限値より著しく遅い流速でも、水素吸蔵合金タンクに要求される性能を得ることが可能となった。
加えて、タンク内の合金充填層に高効率で面的に水素を導入できる水素拡散板を採用した。高い水素流量で吸蔵、放出できる低コストな水素吸蔵合金タンクの開発に至っている。
既存の水素吸蔵合金タンクに水素を導入する手法では、専用の小さな孔を多数設けたフィルター管を数本合金充填層へ内挿する形式が主に採用されており、高コストの要因となっていた。
今回開発した水素吸蔵合金タンクは、産総研や清水建設、東京都港湾局などが進める「水素を活用した臨海副都心の脱炭素化に資する共同研究」において、既に地下熱供給プラントに導入されている。次年度から本格的に、水素混焼ボイラーによる地域熱供給の社会実装プロジェクトを進める計画だ。
