- 2025-3-26
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- インペラ設計, サウスウエスト研究所(SwRI), フレアスタック, フレアバーナー, ミシガン大学(U-M), メタン, 二酸化炭素, 地球温暖化効果, 学術, 排出削減, 機械学習, 石油, 積層造形, 計算流体力学(CFD), 開放型バーナー

Courtesy of SwrI
米サウスウエスト研究所(SwRI)は2025年3月3日、石油生産時に放出されるメタンの98%を除去する新型のフレアバーナーを開発したと発表した。積層造形と機械学習を活用して開発されたこのバーナーは、ミシガン大学(U-M)と共同で開発されたもので、SwRIで試験が行われた。
石油生産の過程ではメタンが発生するが、通常はフレアスタックを用いて燃焼処理される。しかし、従来の開放型バーナーでは、風の影響によって燃焼効率が低下し、40%以上のメタンが大気中に放出される。メタンは100年スパンでは二酸化炭素の28倍、20年スパンでは84倍もの地球温暖化効果を持つため、排出削減が求められている。
そこでSwRIはU-Mの研究者と協力し、機械学習、計算流体力学(CFD)、積層造形技術を活用して、過酷な現場環境でも高いメタン分解効率と燃焼安定性を維持できるバーナーを開発した。
試験はSwRIの屋内施設で実施され、横風条件下で燃焼効率を検証した。その結果、バーナー内部のフィンの構造と動きが効率維持に不可欠であることが判明し、U-Mのチームは、この知見を基にさらなる性能向上を図った。
開発したバーナーは、メタンの流れを3方向に分ける複雑な構造となっている。インペラ設計によりガスを炎に向かって誘導し、酸素とメタンを均等に混合させることで横風の影響を受ける前に完全燃焼させる仕組みだ。酸素とメタンの適切な比率を保つことが燃焼効率の鍵となる。U-Mの研究者は、強い横風環境下でも最適な空気-メタンバランスを維持できる設計を見つけるため、多くのCFD解析を行った。その結果、新型バーナーはメタンの98%を除去できる可能性が示された。
SwRIとU-Mのチームは、さらに高効率かつコスト効果の高い試作機の2025年内の開発を目指し、引き続き研究を進めている。