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新型回転デトネーションエンジンの試験に成功 米Pratt & Whitney

Image credit: Pratt & Whitney

米RTX傘下のPratt & Whitneyは、2025年3月4日のプレスリリースで、RTXテクノロジー研究センター(RTRC)と共同で進めてきた回転デトネーションエンジン(Rotating Detonation Engine:RDE)に関する一連のテストが完了したと発表した。試験結果が良好だったため、Pratt & Whitneyは国防総省と協力し、今後数年間でエンジンと車両の統合地上試験への道筋を加速させるべく、社内での追加投資を推進している。

気体の急速な熱膨張が音速を超えて燃焼する「爆轟反応」を利用する回転デトネーションエンジン(RDE)は、従来のターボジェットエンジンやターボファンエンジンとは異なる熱力学サイクルを利用しており、可動部品を必要としない。そのため、高い熱効率と性能が得られ、小型でコンパクトかつコスト効率が高いのが特徴だ。これにより、燃料、センサー、ペイロードの追加スペースが生まれ、航続距離を延ばすことができる。

RDEでは、まず、密閉されたリング状の燃焼室で燃焼が起こり、飛行中は高速の空気が燃焼室に引き込まれて燃料の混合物が注入される。燃料の注入により爆轟波が点火され、燃料が注入されている間リング状に広がっていく。この爆轟波から発生するエネルギーが推進力に変換されるという仕組みだ。このエンジンの開発は、RTRCで始まった。10年にわたって設計と試験を続けてきたPratt & Whitneyは、空軍研究所からエフェクター用のRTEを開発する契約を受注し、この契約が今回の性能試験につながった。

燃料を無駄にせず効果的な爆轟波を発生させるには、空気と燃料を正確に混合する必要があり、燃料が多すぎると、爆轟波が機能しなかったり、燃費が悪くなったりする。燃料が少なすぎると、点火しない可能性があり、点火したとしても、設計の利点を最大限に引き出すには十分な強度がない。さらに、新しいシステム用部品の設計と製造も必要といった多くの課題があったため、RDEはすぐに生産が開始されなかった。

Pratt & Whitneyの軍用エンジン開発部門の副責任者Beata Maynard氏は、およそ1年間の開発と性能試験を経て設計と製造の改良に重点的に取り組み、その後、地上車両にエンジンを組み込んで試験を実施する予定であると述べている。

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News | RTX’s Pratt & Whitney completes series of rotating detonation engine testing | RTX

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