伸縮可能なセンサーデバイス開発が可能に――低耐熱性基板上へのダメージレスはんだ溶融技術を開発

今回開発した技術でPET基板上にはんだ実装したフレキシブル温度・湿度センサーアレイ(左)と実装部の拡大図(右)

産業技術総合研究所(産総研)は2018年2月9日、低耐熱性プラスチック基板上に、ダメージなく電子部品を実装できる、マイクロ波選択加熱による短時間はんだ溶融技術を開発したと発表した。

IoT社会の進展により、これまで電子デバイスの設置が難しいと考えられてきた、柔軟なフレキシブル基板や伸縮性のあるストレッチャブル基板にデバイスを実装する技術の開発が求められている。しかし、はんだを用いた従来の実装方法では、低温・短時間の場合でも170 ℃以上、300秒程度の加熱プロセスが必要であるため、耐熱性の低いプラスチックやエラストマーなどの材料を基板として使用できない問題があった。

そこで産総研は、面状に磁界を集中させて導体を放電無く加熱できるマイクロ波照射技術と、はんだ接合部分を選択的にマイクロ波により加熱する技術を開発。3秒以内ではんだ溶融が完了し、従来の1/20の基板ひずみ量で低耐熱性基板へデバイスを実装することに成功した。

実際に同技術を用い、市販の温度・湿度センサーの3×3個のアレイをポリエチレンテレフタレート(PET)基板上に実装。非常に薄い基板にも適用できるため、25μm厚の基板を衣服内に設置し、衣服内の温湿度分布を計測しての快適性評価などにも使用できるという。

PET上に実装した温度・湿度センサーアレイ

今後は、さまざまな電子部品をはんだ実装できる低温・短時間実装プロセス基盤技術として確立するという。そして、その技術を用いて、ストレッチャブルセンサーの駆動回路、データ解析チップ、無線回路などを実装したストレッチャブルデバイスの実現、普及を目指すとしている。

なお、同技術の詳細は、2月14~16日に東京ビッグサイトで開催される展示会「プリンタブルエレクトロニクス2018」で発表する予定だ。

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