雨天でも発電できる――摩擦帯電型ナノ発電機を組み込んだハイブリッド太陽電池

台湾の東呉大学のYuqiang Liu 博士らは、雨天でも発電可能なハイブリッド太陽電池を開発したと発表した。この研究成果は『NANO』に論文「Integrating a Silicon Solar Cell with a Triboelectric Nanogenerator via a Mutual Electrode for Harvesting Energy from Sunlight and Raindrops」として2018年2月14日に発表されている。

太陽電池は、太陽光を電気に変換するデバイスだが、雨の日にはその発電性能は著しく低下してしまうという課題がある。そこでLiu 博士らの研究チームは、太陽光と雨滴のどちらからも電気エネルギーが取り出せるハイブリッド太陽電池、すなわち太陽電池と摩擦帯電型ナノ発電機(TENG:Triboelectric Nanogenerator)を組み合わせた発電システムを開発した。

開発されたハイブリッド太陽電池は、高出力のシリコン系ヘテロ接合型太陽電池をベースに、ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT:PSS)を介してTENGが組み込まれている。PEDOT:PSSフィルムは太陽光の反射を低減し、短絡電流密度(電極同士を直接接続したときに観測される電流密度)を高くする効果がある。

そして雨滴からの摩擦帯電を生じるPDMS(polydimethylsiloxane:ポリジメチルシロキサン)とPEDOT:PSS層を電極として組み合わせ、単一電極モードのTENGを構築した。雨滴と接触することでPDMSに摩擦帯電を生じるが、接触面積を増大することで最大33.0nAの短絡電流と最大約2.14Vの開放電圧を記録した。

太陽電池の変換効率は短絡電流密度と開放電圧の積に比例するが、今回開発したハイブリッド太陽電池は、ヘテロ接合型太陽電池の高電流とTENGによる高電圧という利点を組み合わせることができるため、晴天や雨天という気象条件に左右されにくいエネルギーハーベストを実現したと言えるだろう。

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Integrating a Silicon Solar Cell with a Triboelectric Nanogenerator via a Mutual Electrode for Harvesting Energy from Sunlight and Raindrops

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