鋳造品の品質管理から建設機器の詳細設計へ。未経験から叶えた設計業務へのキャリアチェンジ__メイテックフィルダーズ 宮吉 達也氏

株式会社メイテックフィルダーズは、約1,200社の企業に対し、ものづくりの要となる設計・開発から、試験・評価・解析、生産技術、品質保証、フィールドエンジニアリングの領域に、プロフェッショナルなエンジニアによる派遣サービスを提供している企業だ。

宮吉 達也氏は鋳造品の製造を行う企業で品質管理に携わり、未経験から設計業務へ挑戦するためにメイテックフィルダーズに転職した機械系エンジニアです。2019年に入社し、1社で業務をした後、現在は希望していた建設機械の詳細設計業務を担当しています。宮吉氏がどのようにして未経験から設計業務にキャリアチェンジできたのか、これまでのキャリアの変遷と共に語って頂きました。(執筆・撮影:編集部)

いつかは航空宇宙分野のエンジニアへ。設計未経験からの挑戦。

──宮吉さんがエンジニアを目指したきっかけを教えてください。

[宮吉氏]高校生の頃は数学や物理、化学などが得意科目で、中でも物理が一番得意だったことから、それを活かすなら就職の選択肢も広そうな機械の分野に進もう、と考えたことが最初のきっかけだったと思います。

大学は工学部の機械工学科へ進み、材料力学、流体力学などの4力学を学びましたが、勉強はほどほどに、サークルのボランティア活動で毎週児童館へ訪問して子供たちと遊んでいました。アルバイトは塾講師だったので、教師を目指していたようにも見えますね(笑)。そして、大学時代に「下町ロケット」の原作を読んで、自分のつくった部品でロケットを打ち上げる姿に憧れを持ち、将来は航空宇宙の分野に挑戦してみたいと思うようになりました。

──卒業後は就職せず大学院に進んでいますね。何か取り組みたいテーマがあったのでしょうか?

[宮吉氏]航空宇宙への憧れはあったものの、レベルの高い領域でいきなり挑むのは現実的ではないと考えていました。かといって今やってみたい仕事もなかったので、機械工学科の7,8割が大学院に進むと聞き、そのまま院に進むことに。流体系の研究室に所属したものの、やりたいことは中々見つからず、結局院生2年目の10月頃になってから就職活動することになりました。

──就職活動はどのような方針で取り組んだのですか?

[宮吉氏]これまで機械系の勉強をしていたので、職種は設計者がいいと思い、就職活動をしていました。そんな中、鋳造部品を作っている企業と出会います。鉄を溶かして型に流して固める鋳造であれば、鉄の流れのシミュレーションなどで学んできた流体の知識を活かせるかもしれないと考え、入社することにしました。

鋳造品の製造を行う企業で品質管理を経験、現場主義の大切さを学ぶ。

──初めて入社した企業ではどんなお仕事をしていたのでしょうか?

[宮吉氏]会社の方針に「現場を知らないとモノは作れない」というものがあり、最初の1年は工場で様々な製造工程を担当しました。鉄を電気炉で溶かす。溶かした鉄を型に流し込む。砂の型をばらして仕上げを行い、品質検査して出荷するところまで、一連の工程を経験し、その過程で玉掛けやフォークリフトなどの資格も取得しました。

──まずはものづくりの流れを把握したわけですね。その後はどの部署に配属されたのですか?

[宮吉氏]やりたいと思っていた設計の仕事は残念ながら空きがなく、品質管理の部署へ配属されました。品質管理といっても、かなり設計寄りの仕事もやらせてもらいまして、品質管理の本来の業務範囲で言えば、製造工程で出てきた不良品を確認して原因を突き止め、設計担当へフィードバックするところまでですが、この会社は人が少なかったので、不良品の原因を突き止めた後、対策を立案し、製造工程を改善するところまで任せてもらえました。

──業務の中で得たものや、後々役立ったようなものはありますか?

[宮吉氏]振り返ると、貴重な経験を積むことができた職場でした。よく「現場主義が大事」と言われますが、現場を経験したことで私もそう考えるようになり、今でも常に心掛けて業務に臨んでいます。例えば、砂の型で作った鋳造品が型のサイズより大きくなってしまう不具合が発生したことがあります。図面だけ見ていては中々気付かないのですが、原因は砂の型を作るときに砂に水分を含ませる装置のセンサーの故障だったのです。これも製造工程を経験して、この工程にどんな意味があり、どんな作業があり、どんな装置を使っている、という情報がなければ気付けなかったでしょう。他にも社員が少なかったことから品質管理の仕事をしつつ、現場のヘルプにもよく呼ばれたので、仕事の整理の仕方、優先順位の付け方が磨かれました。

──この後、転職されていますね。

[宮吉氏]はい。仕事がハードワークだったこと、そして、自分から自発的に動いて学ぶことはあっても、会社から学びを提供してくれることがなかったことから転職を決意しました。当初は次も品質管理の仕事であれば、経験が活かせて役に立てるかなと考えていたのですが、転職エージェントの助言をきっかけに活動方針を変えることにしたのです。

未経験から設計業務を目指し、メイテックフィルダーズへ。

──転職エージェントからどんな助言があったのですか?

[宮吉氏]私が利用していたのは、メイテックネクストという転職エージェントです。エンジニア専門という謳い文句に惹かれて登録したのですが、自分のキャリアを変えるいいアドバイスをもらえました。

品質管理の仕事を探していたところ、担当のキャリアアドバイザーから「まだ20代の後半なら設計の仕事に挑戦しても良いと思う。品質管理しか経験の無い人は年齢が上がってしまうと設計業務へ移ることが難しくなるので、今、上流の設計を経験してみませんか?」とアドバイスがあり、設計の仕事に興味もあったことから挑戦してみることにしたのです。

──そして今所属しているメイテックフィルダーズを紹介してもらったということですね。

[宮吉氏]はい。他にも様々な企業を紹介してくれたのですが、メイテックフィルダーズの選考の中で、先輩エンジニアとの面談機会がありまして。その人がとても楽しそうに働いていること、エンジニアとしてどう成長できるのか具体的に示してくれたこと、そして、設計業務未経験でも挑戦の機会があると聞けたことが決め手になり、メイテックフィルダーズへの入社を決めました。

──入社後はどのような仕事をされたのでしょうか?

[宮吉氏]入社後は2週間ほど研修を受けて、プラントのリスク評価業務への配属が決まりました。正直な話、設計をしたいという私の希望とは異なる配属だったのですが、コロナウィルスの影響が出始めた頃だったので、まずは業務に就くことを優先しました。約2年半業務が続きましたが、これまで経験のなかったイベントツリー解析やフォールトツリー解析など、新しいスキルを得ることができました。

──その後は希望していた設計業務に就くことができたのでしょうか?

[宮吉氏]少し回り道はありましたが、現在は希望した設計業務に就くことができています。所属拠点の上司には最初の配属先の頃から、「私は設計業務がやりたい」という希望を伝えていました。チャンスがあれば将来の航空宇宙分野への挑戦につながる経験を得たかったのです。すると上司も「その思いがあるなら、是非挑戦してほしい。そのために設計の仕事を探してくる」と私の希望を汲んで、営業活動を続けてくれたのです。所属拠点の上司や営業担当は、私たちエンジニアのキャリアを考えてくれていることを実感しました。そして、現在就業している、建設機械の新規開発への配属が決定したのです。

念願の設計業務へ。建設機械の詳細設計でキャリアを積み重ねる。

──配属が決まった時点で設計の経験はなかったと思いますが、率直にどのようなお気持ちでしたか?

[宮吉氏]とても面白そうな仕事で喜んでいたのですが、同時に「設計未経験だけど本当に大丈夫だろうか」という不安がありました。しかし、詳しく話を聞いてみると、英語や材料に対する知識が必要で、強度計算もバリバリできると聞き、将来目指す航空宇宙エンジニアへ一歩近づけると思い、挑戦することにしました。

──念願の設計業務、加えて将来目指すエンジニア像へ近付ける業務だったのですね。

[宮吉氏]はい。配属前には事前準備として、英語や建設機械に関する基礎知識を学び、会社に3DCADを準備してもらって、操作方法も学び直しました。メイテックフィルダーズは社内に多数のWEB研修があるので、お客さま先で使用するBOM(部品表)の事前学習まですることができて、とても助かりました。こうした多数の研修を会社が用意してくれるのはとてもありがたいですし、初めての設計業務に挑戦する際の大きな助けとなりました。エンジニアが自発的に学べる環境が用意されているのも、メイテックフィルダーズの魅力ですね。

──お客さま先ではどのような業務を担当していますか?

[宮吉氏]メインで担当しているのは、新規製品の開発における詳細設計です。ただ、必要な出力を得るための強度確認にも対応しているので、構想設計にも携わっていますし、コスト削減や不具合対応も経験させてもらっています。

──初めての設計領域の仕事では苦労したことも多かったのでは?

[宮吉氏]そうですね…今も苦労しているところです(笑)。例えば、製品の強度を保つために必要な数値基準があるのですが、使う材料を強くすれば余裕は出るものの、コストが上がってしまいます。コストと強度の両面を視野に入れて丁度いい材料を選定しないといけないので、様々な要素を把握した上で、関係者と話し合って決定しなければなりません。必要となる材料に関する知識、過去に起きた不具合事例、お客様の設計思想など、まだまだ理解すべき要素は多いです。とにかく、分からないことは聞いて、覚えて、知識を増やさないといけないと、危機感を持って対応してきました。

その結果、最初は理解できなかったことがだんだん分かるようになり、今では自分なりの考察も踏まえた提案ができるようになってきたので、設計という仕事に対する力が付いてきたことを実感しています。

──未経験からでも設計に関わることができて、着実にステップアップしていますね。より成長するために、今後取り組みたいことなどはありますか?

[宮吉氏]やはりお客様の製品を作っている現場を見たいですね。私は1社目の経験から「現場主義」を大切にしているので、お客様がどんな工程でものをつくっているのかをしっかり把握し、それを設計業務に活かし、もっと良いアウトプットを提供したいです。その他には、材料の強度に関する知識を高めたいです。

──ありがとうございます。振り返ってみて、メイテックフィルダーズで未経験からでも設計業務に携わることができたのは、どういう要因があったと思いますか?

[宮吉氏]入社前に先輩エンジニアが教えてくれた通り、メイテックフィルダーズは未経験からでも設計業務に携われるチャンスがある会社です。これは大手企業を中心とした幅広い業界のお客様との取引実績と信頼を得ているからでしょう。

しかし、会社が動いてくれるのをただ受け身で待っているだけではいけません。自分が設計をやりたいという意思を持って、それを主体的に発信し、営業担当と連携すれば、営業の人たちもしっかり応えてくれます。それを実践してきたからこそ、設計業務へのキャリアチェンジが実現できたのだと思います。

──ありがとうございます、最後に宮吉さんの今後の抱負を教えてください。

[宮吉氏]今のお客様先の業務はやりがいもあり、設計者として日々勉強になることが多くとても面白いので、今後も必要とされるように知識と経験を積み上げていきたいです。そして将来は、設計者としての経験と知識を蓄えて、憧れだった航空宇宙エンジニアへ挑戦してみたいです。

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