- 2024-6-3
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- Breville, Ultrasonics Sonochemistry, エスプレッソフィルターバスケット, エスプレッソマシン, コールドブリュー(低温抽出)コーヒー, トランスデューサー, ニューサウスウェールズ大学, ホットコーヒー, マイクロジェット, 抽出バスケット, 超音波リアクター
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学は2024年5月7日、超音波を使って、味を損なうことなくコールドブリュー(低温抽出)コーヒーを3分以内で作る方法を開発したと発表した。この研究についての論文は『Ultrasonics Sonochemistry』に掲載されている。
ホットコーヒーと比べて、滑らかで酸味や苦みが少ないコールドブリューコーヒーを好む人は少なくない。しかし、冷水でゆっくりと風味を抽出するのには12時間から24時間かかるため、飲みたい時に手軽に用意できないのが難点だった。
研究チームは、コールドブリューの抽出プロセスをスピードアップすることを目指し、挽いたコーヒー豆の抽出を早めるために超音波リアクターを使用する手法を開発した。具体的には、既存のBrevilleのエスプレッソマシンに、研究チームが特許を持つ独自の音波伝達システムを搭載。ボルトで固定された変換器を、金属のホーンを介して抽出バスケットに接続し、標準的なフィルターバスケットを強力な超音波リアクターに変えるというものだ。
このリアクターは、38.8kHzの音波を、リアクター壁面を通して複数箇所に入射させ、リアクター内に複数の超音波キャビテーション領域を作り出すことで機能する。そこでは小さな気泡がたくさんでき、挽いたコーヒーの近くでこの気泡が崩壊すると、マイクロジェットが発生する。コーヒーの粉に穴をあけて砕くのに十分な力を発生させることで、抽出プロセスを加速し、より強く香りと風味を抽出できるのだ。
このシステムを用いることで、抽出時間が1~3分に短縮できた上に、味のテストでも、従来の長時間かかる方法で抽出したコーヒーとほぼ同等の評価を得た。また、超音波処理されていないサンプルと比較して、抽出収率とカフェイン濃度を2倍にできることもわかった。
今後、コーヒーショップやレストランなどでの商業的な利用や、食品産業のさまざまな分野への応用が期待できるという。