酸化反応で溶けた後、再び自然に固まる不思議なゼリー状物質を発見 岐阜大

岐阜大学は2024年6月21日、山形大学との研究グループが、酸化反応によって溶けて水溶液状態になった後、自発的にゼリー状態に戻る新たな物質を作り出したと発表した。アミノ酸誘導体型分子から形成された水系のゼリー状物質で、医療用材料としての活用が期待できる。

研究グループは、天然アミノ酸の一つであるシステインを原料に化学合成することで得られるアミノ酸誘導体型分子(Fmoc-CBzl)が水中で自己集合し、ナノファイバーネットワークからなるヒドロゲルを形成することを発見した。このヒドロゲルの性質を調べたところ、過酸化水素(H2O2)の酸化反応によって溶け、水溶液状態になるものの、しばらくすると再びヒドロゲル状態に戻ることが確認できた。

この現象を詳しく調べたところ、Fmoc-CBzlのスルフィド部位が、酸化反応によってスルホキシド部位に変換されていることと、生成したスルホキシド部位のキラリティに由来する2種類の異性体の間で自己集合能が異なることを発見した。

さらに、顕微鏡でFmoc-CBzlヒドロゲルの酸化反応を観察した結果、ヒドロゲル状態で存在していたナノファイバーネットワークが酸化反応の進行とともに消失してナノ粒子に変化した後、しばらくすると再びナノファイバーネットワークが自発的に出現することを突き止めた。このようなナノ構造体の構造変化は、巨視的な状態変化とよく似ており、研究グループは、酸化反応によってナノファイバーネットワークを形成していたFmoc-CBzlが少なくなり、その代わりに増えてくる異性体の影響でナノ粒子に変化するものの、時間が経過すると、今度は異性体の影響で再びナノファイバーネットワークに変化すると説明している。

ヒドロゲルは細胞やバイオ医薬品を包埋できるため、今回開発したゼリー状物質を新たな医療用材料として活用できる可能性がある。

今回の研究成果は2月13日、『Advanced Functional Materials』のオンライン版に掲載された。

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酸化反応によって溶けた後、ひとりでにもう一度固まる不思議なゼリー状物質を発見!|研究・採択情報 | 岐阜大学

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