高性能な半導体をより速く製造する、次世代の極端紫外線リソグラフィ技術

Illustration by Janelle Cataldo

米ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)が、高性能な半導体をより速く製造できる、次世代の極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術の開発プロジェクトを進めている。

EUVリソグラフィは、数ナノメートルの微細な回路をEUV光で半導体チップに加工する技術であり、半導体チップ製造分野の最先端技術となっている。LLNLはEUVリソグラフィの開発を長年にわたって先導してきた。

EUVリソグラフィでは、毎秒数万滴の速さで流れる数十ナノメートルのスズ液滴に高出力レーザーを入射し、50万℃まで加熱してプラズマを発生させ、波長13.5ナノメートルのEUVを出射する。半導体ウエハの複雑な集積回路パターンを保持する「マスク」と呼ばれる板を通して、フォトレジスト層にEUVを照射し、集積回路を製造する。

LLNLは、 Big Aperture Thulium(BAT)レーザーと名付けられた同研究所が開発したドライバーシステムを中心に、EUVリソグラフィの次の展開技術の開発を目指している。BATレーザーは、出力を増幅させる利得媒質にツリウムドープ・フッ化イットリウムリチウム(Tm:YLF)を使用する、同研究所が開発したペタ(1015)ワットクラスのレーザーだ。

同プロジェクトでは、現在の業界標準である炭酸ガスレーザーと比較してEUV光源の効率を約10倍向上させる、BATレーザーの能力をテストする予定だ。次世代のEUVリソグラフィ・システムは、より小さく、強力で、高速なチップを、少ない電力で製造できると期待される。

さらに、LLNLの研究チームは、成形ナノ秒パルスを使用したEUV光源や超短サブピコ秒パルスを使用して、高エネルギーX線や粒子を発生させる技術と、BATレーザーを組み合わせる計画だ。BATレーザーは、EUVリソグラフィだけでなく、高エネルギー密度物理学や慣性核融合エネルギー分野でも活躍が期待されてる。

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