- 2025-1-20
- 技術ニュース, 電気・電子系
- IPEROP25, エネコートテクノロジーズ, タンデム型, トヨタ自動車, ペロブスカイト太陽電池, 京都大学, 結晶シリコン太陽電池, 4端子タンデム
ペロブスカイト太陽電池の実用化と普及に取り組む京都大学発のスタートアップ、エネコートテクノロジーズは2025年1月17日、トヨタ自動車との共同開発プロジェクトで、ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を積層した4端子タンデム型太陽電池で、30%を超える変換効率を達成したと発表した。高効率太陽電池の実用化に向けた研究の加速が期待される。
次世代太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池だが、単独の理論変換効率は33.7%にとどまり、ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を積層したタンデム型の43.8%を大きく下回る。
タンデム型は、受光面側から順にペロブスカイト、結晶シリコンそれぞれの発電層を持ち、最初にペロブスカイト太陽電池が可視光領域の光エネルギーで発電し、ペロブスカイトが吸収しない赤外領域の光エネルギーで結晶シリコン太陽電池が発電する。そのため、ペロブスカイト太陽電池には、可視光での高い発電能力と赤外線をロスすることなく結晶シリコンに透過させる性能の両立が求められる。
プロジェクトではペロブスカイト太陽電池の透過性に着目し、赤外線透過率を81%まで向上させることに成功した。
フィルム型のペロブスカイト太陽電池を用い、変換効率を検証した結果、シースルー型としては極めて高い変換効率である22.4%を達成した。22.4%の変換効率と81%の赤外線透過率を有するフィルム型ペロブスカイト太陽電池は世界でも報告例がない。
このフィルム型ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を組み合わせることで、合計30.4%というタンデム型(4端子)としては世界最高クラスの変換効率を達成した。
今回達成した変換効率は、セルレベルの限定された面積での測定値であり、両社は今後、モジュール化と大型化に取り組み、高効率の太陽電池の実用化に向けて開発を進めていく。
研究の成果は2025年1月21日、22日に京都大学宇治キャンパスで開催されるペロブスカイトや有機太陽電池、オプトエレクトロニクスに関する国際会議「IPEROP25」で発表される。