洗濯しても車に踏まれても壊れないひずみセンサーを開発――スマート繊維への応用も期待

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Image courtesy of James Weaver/Harvard SEAS

米ハーバード大学ジョン・A・ポールソン工学・応用科学スクール(SEAS)は、2020年11月11日、衣類やソフトロボットシステムに埋め込むことができる超高感度で弾力性に優れたひずみセンサーを開発したと発表した。研究成果は、『Nature』に2020年11月11日付で発表されている。

既存のひずみゲージは非常に感度が高いが、とても壊れやすい。逆に壊れにくい堅牢なひずみセンサーは感度が低い。研究者らは、高感度で壊れにくいひずみセンサーの開発を進め、スリンキーというばね状のおもちゃに似たデザインのセンサーを作り出したという。

スリンキーは静止状態では鉄の硬い円筒のように見えるが、渦巻き状のパターンが施されており、伸縮しながら滑らかに動くおもちゃだ。研究者らは、このおもちゃと同じ原理を利用し、炭素繊維センサーが伸縮できるように成形した。具体的には、配線パターンなどで知られるミアンダ(蛇行)配列を導電性炭素繊維に施した平面状のセンサーだ。ミアンダ配列にパターン化された繊維部分が力を受け、繊維同士の接触面が変化することでセンサーの導電性が変化する。この導電性の変化を読み取ってひずみを計測する仕組みだ。ミアンダ配列にパターン化された繊維部分は微小な力でもひずみ、全体の導電性に変化をもたらすため、ひずみに対する感度が非常に高いセンサーが完成した。

研究者らは、センサーの堅牢性を試すために、センサーを外科用メスで刺したり、金づちでたたいたり、車でひいたり、洗濯機に10回放り込んだりしてみた。このような荒い扱いをした後にセンサーの復元力を確かめたところ、センサーはテスト前と同様の高い感度を示したという。

感度の実証試験では、センサーを服の袖に埋め込み、装着者に手を開く、握る、つまむなどの動きをさせ、服を通して前腕筋の小さな変化をセンサーで検出した。検出された信号は、機械学習アルゴリズムを用いて対応する手の動きに分類することができたという。

袖にセンサーを埋め込んだこのような装置は、バーチャルリアリティー(VR)シミュレーション、スポーツウェアから、パーキンソン病のような神経変性疾患の臨床診断まで、あらゆる分野で利用できると期待される。

今回開発されたセンサーはどんな導電性材料でも製造できるので、高度な製造技術やクリーンルームは必要ないという。論文の上席著者であるRobert Wood教授は、「この技術を差別化するもう一つの側面は、構成材料や製造コストが低いことです。そういう側面が、スマートテキスタイルなどにこの技術を普及させる際の障壁を下げることを期待しています」と語っている。

ハーバード大学技術開発局は、このプロジェクト関連の知的財産を保護するため、既に出願しているという。

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