化学メーカーの石原産業は2025年1月17日、可視光を99.0%以上吸収する独自開発の超低反射率構造漆黒顔料「LUSHADE BLACK」を、同月22日から24日まで東京ビッグサイトで開催される「第39回ネプコンジャパン」に出展すると発表した。同技術は、スマートフォンカメラや車載カメラ用など、光学デバイスの光学特性の向上が期待できる。
LUSHADE BLACKは、硫化ビスマスを使った黒色の顔料だ。ウニのトゲのような表面構造をしており、トゲの隙間に可視光が入ることで光が多重散乱して減衰するため、ほとんど光を反射せず、艶のない漆黒を実現する。また、赤外線の反射率が高く、塗装面の温度上昇を抑えることもできる。
これまでの黒色遮熱顔料は赤外線の反射性能は高いものの、赤みがかった色合いが課題となっていた。このため、同社では「カーボンブラックに匹敵する黒色度」と「赤外線反射」を両立する黒色顔料を目指して開発に取り組んだ。
同社が着目した硫化ビスマスは、黒色の色調でありながら赤外線を反射するなどの特性がある。さらにフウチョウ科の一部の鳥の羽には、入射光の99.95%を吸収する構造があったことから、この構造を顔料の合成技術で再現した。さらに、構造を工夫して、ウニのトゲのような表面構造にすることで実用化に成功した。
この顔料を表面に塗れば、光の反射や散乱を防げるため、カメラなどのレンズ迷光防止や、車載用デバイスのコーティング、宇宙観測機器の精度向上に応用できるほか、アートやデザインの幅を広げる可能性がある。
同社が開設した製品サイトでは、製品の仕組みや特徴、開発ストーリーなどを紹介している。