NTTは2017年3月23日、32個のコアを持つ光ファイバー1本で、毎秒1ペタビットのデータを205.6kmにわたって光増幅中継することに成功したと発表した。
NTTは2012年にも毎秒1ペタビット以上のデータ伝送に成功したが、当時の伝送距離は52.4km。今回は距離が約4倍に増えたことになり、ペタビット以上の記録としては世界最長になるという。
現在の光ファイバを使ったデータ伝送では、現状の10倍ほどに相当する毎秒100テラビット前後で限界を迎えると予測されている。一方、動画などのコンテンツやクラウドサービスが普及していることから、通信トラフィックは急増中。2020年代半ばには、既存の光ファイバでは容量の限界を超えると見られている。
そこで、より大容量を伝送できる光通信システム技術として、複数のコアを持たせた光ファイバを使った空間多重光通信技術の研究開発が世界各地で進められている。NTTもフジクラ、北海道大学、サウサンプトン大学、コリアントと協力して研究開発を進めてきた。
NTTはさらに、偏波多重16値QAM信号中に多次元符号化変調というデジタル信号処理を加えることで、1波長当たりの実質的な情報伝送容量は25%減少したものの、1000km以上の長距離伝送を実証したことも明らかにした。毎秒1ペタビット級の光信号を1000km以上先に長距離伝送する可能性を初めて示したとうたっている。