完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発――厚さ1mmでの成形も可能 パナソニック

パナソニック ホールディングスは2022年12月6日、完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発したと発表した。

同社は、成形材料の完全生分解化を目指し、セルロースファイバーを生分解性樹脂に混ぜ込む取り組みを進めた。

従来の生分解性樹脂は、ポリプロピレンなどの汎用樹脂と比較して強度や耐久性の面で劣り、用途が限定される。また、セルロースファイバーと混ぜると流動性が低くなり、複雑な形状の成形が困難となる点も課題となる。

そこで、植物由来のポリ乳酸を含めた複数の生分解性樹脂をブレンドし、適正な添加剤を加えて、生分解性と高弾性率を両立した成形材料を開発した。厚さ1mmでの成形も可能となっている。

完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を用いた成形体


ポリプロピレン、ポリ乳酸および今回の開発品の湿度50%における弾性率経時変化


ポリプロピレン、ポリ乳酸および今回の開発品のコンポストにおける生分解速度

また、セルロースファイバーを55%混合した同社既存のセルロースファイバー成形材料「kinari」と同じく、着色自由性に優れる白色の樹脂ペレット化に成功した。素材そのものを褐色化させることも可能なため、木の質感に近づけたデザイン性を持たせることもできる。

今回開発した成形材料は、日本バイオプラスチック協会が認証する生分解性バイオマスプラマークを取得した。

同社は今後、家電の筐体や車載機構部材、大物家電の外装、美容家電、日用品、服飾衣料品、飲料/食品容器などへの展開を図る。

なお、今回開発した材料は、2022年12月7日(水)~9日(金)に東京ビッグサイトにて開催される「エコプロ2022」において、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスとの共同出展として展示される予定となっている。

同社は2019年にセルロースファイバーを55%濃度で、2021年に70%濃度で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発していた。また、2022年3月には、植物由来の樹脂を用いてバイオマス度90%以上の成形材料を開発している。

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プレスリリース
バイオマス度90%以上のセルロースファイバー成形材料を開発 パナソニック

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