- 2018-1-22
- 化学・素材系, 技術ニュース
- NEDO, TOTO, チタン酸ストロンチウム光触媒, 三菱ケミカル, 人工光合成, 人工光合成化学プロセス技術研究組合, 光触媒パネル反応器, 新エネルギー・産業技術総合開発機構, 東京大学
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)、東京大学、TOTO、三菱ケミカルは、水深1mmで水分解を実現する新しい光触媒パネル反応器の開発に成功したと発表した。
人工光合成は、太陽エネルギーを用いて、水や二酸化炭素などを水素や有機化合物などに変換する技術だ。その工程の内、水分解には種々の方式があり、その反応器として光触媒シートを十分な水に浸漬した小型のフラスコ型反応器を用いて水を撹拌するものや、太陽電池で水分解をアシストし、さらにポンプなどで溶液を強制的に対流させたりするものが検討されている。しかし、これらの反応器は、大容量の水を保持しなくてはならず、ガラスや高強度な機能性樹脂などが不可欠で、大面積のものを安価に設計することが困難だった。
今回開発した反応器は、水分解反応活性を有するチタン酸ストロンチウム光触媒の粉末をガラス基板上に塗布して固定した光触媒シートを使用。1mmの水深でも、実用化する上で十分な速さで水を分解して水素と酸素を放出できることを確認した。また、この反応器では、窓材を親水化処理することで気泡の滞留を防止でき、強制的な対流を必要としない。さらに、1m2サイズの大型の光触媒パネル反応器を試作し、自然の太陽光照射下で水を水素と酸素に分解できることも確認した。
研究グループは、この技術が光触媒パネル反応器の大面積化に関する画期的な技術であると説明。また今後、太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指すとともに、大面積の光触媒パネルの開発や、ガス分離技術との一体化手法の開発を進めるとしている。