名古屋工業大学は2018年2月21日、同大学とデンソーによる研究グループが、イオン液体と有機分子によって二酸化炭素を低い過電圧で効率的に還元し、ギ酸やメタノールなどの有用化合物に変換できる電極材料の開発に成功したと発表した。より効果的な二酸化炭素削減技術への応用が期待される技術だ。
今回の研究では、同大学の研究グループが保有するイオン液体を電極上に付着させる技術と、デンソーの研究グループが取り組んでいた有機分子による二酸化炭素還元反応の促進技術を融合し、新しい電極材料の開発を行った。
開発された電極の表面には、イオン液体と呼ばれる常温で液体の塩(えん)が付着し、その間に簡単な有機分子(イミダゾールなど窒素原子を含む芳香族化合物)が固定されている。この電極を用いて二酸化炭素を還元する際、電極上に付着したイオン液体と有機分子が還元反応を促進し、低い過電圧(理論的な反応電極電位と実際に反応が起こる際の電極電位との差)で二酸化炭素を還元できる。また今回、生成物として、一酸化炭素やギ酸だけでなく、メタノールの生成にも成功した。
今回の電極材を用いれば、反応させる電位を調整することで生成する化合物を選択できるため、将来的には効率よく二酸化炭素から有用化合物を生み出すための要素技術になると考えられる。また低い過電圧での還元により電気エネルギーが少量で済むため、再生可能エネルギーの利用と組み合わせることで、二酸化炭素削減技術に応用できると考えられる。