RFIDタグをハックしろ――安価なバッテリーレスIoTデバイスを実現する研究

ウォータールー大学の研究者らは、バッテリーも充電も不要なスマートデバイスの実現に近づくための研究を行っている。

多くのIoTデバイスが普及しつつあるが、もしバッテリー不要で作動するデバイスが開発できれば、デバイスのメンテナンスコストの低減や、電源インフラがない場所への設置も可能になる。

同大Cheritonコンピュータサイエンス学部のOmid Abari教授、ポスドクフェローJu Wang氏、Srinivasan Keshav教授らの研究チームは、RFID(Radio Frequency IDentification)タグと導電リボン、小型スイッチとセンサーを使ったバッテリーレスのIoT環境センサーを組み上げた。

Wang氏は「簡単な改造で、RFIDタグを分解してアンテナをカットし、スイッチとセンサーを組み込んで回路を作っただけです」と説明する。単独でIoT光センサーとして機能するうえ、複数個のデバイスを並べて、バッテリーレス無線キーパッドにすることもできる。

センサー部分には、小型のフォトトランジスターを使用する。フォトトランジスターが光を受けるとRFIDのアンテナ特性を変化させ、RFIDの信号も変化する。受信機側に信号の変化量から光の強さの変化を計算するアルゴリズムを持たせることで、このデバイスは光センサーとして機能することになる。

「RFIDタグというシンプルなハードウェアをハックし、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて、新たな応用を可能にした」とAbari教授。「誰でもできる簡単な手法でRFIDタグをハックし、IoTデバイスを作成できることを示した」と、その成果を説明している。

この研究成果は、インド・ニューデリーで2018年10月29日から開催された「24th Annual International Conference on Mobile Computing and Networking」にて発表されている。

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