CO2を瞬時に固体炭素に変換する新技術――重工業分野の脱炭素化を後押しし、CO2の排出防止と再利用を目指す

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二酸化炭素(CO2)を瞬時に固体炭素に変える新しいCO2除去技術が開発された。この研究は豪ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)を中心とした研究チームによるもので、2022年1月17日付で『Energy & Environmental Science』に掲載された。

セメント産業や鉄鋼業などの重工業は、エネルギー集約型であるだけでなく、生産工程で二酸化炭素を直接排出する。国際エネルギー機関(IEA)によると、鉄鋼業とセメント産業は、それぞれ世界のCO2総排出量のうち約7%を占めており、人口増加や都市化に伴う需要の増加により、両産業は今後数十年にわたって成長を続けると予想されている。そのため、脱炭素化は非常に大きな技術的課題となっている。

一方、これまでの二酸化炭素回収/貯留(CCS)技術は、ガスを圧縮して液体にし、地下に圧入して貯留することに重点が置かれてきた。しかし、これには技術的に大きな課題があり環境への懸念も伴う。また、CCSを広く普及させるにはコストが非常に高価でエネルギー集約的だという批判もされてきた。

そこで研究チームは、重工業の脱炭素化を進めるために、二酸化炭素を回収し、固体炭素に変換するスマートで超効率的な新手法を開発した。この新しいCCS技術では、産業界で広く用いられている熱化学法を採用した。

「気泡塔(Bubble Column)」法と呼ばれるこの新手法では、まず液体金属を約100~120℃に加熱する。その液体金属にCO2ガスを注入すると、シャンパングラスの中で泡が浮かび上がるようにCO2ガスの気泡が上昇していく。気泡が液体金属内を通り抜けるにつれて、ガスの分子が分裂して固体の炭素片を形成する。その反応時間はほんの一瞬だ。

新技術ではCO2を瞬時に変換し、固体炭素を生成すると同時に固体状態で永久に固定するため、CO2が大気中に排出される可能性を回避できる。そして、この技術は化学反応速度が驚異的に速いため、商業的に実現可能なものになっている。これは他の多くの代替アプローチが苦戦しているところだ。

さらに、この新技術は既存の標準的な工業プロセスにスムーズに統合できるように設計されており、より簡単に規模拡大が可能だ。また、超高温にする必要がないので、再生可能エネルギーにより反応させることが可能と考えられている。

この技術については仮特許出願がされており、研究者たちは、オーストラリアの環境技術企業ABRと260万豪ドル(約2億1000万円)の契約を締結している。研究の次の段階は、ABRと共同で、今回の概念実証を輸送用コンテナサイズのモジュール化されたプロトタイプへとスケールアップすることだ。

また、この新しい手法は、CO2排出防止と炭素の付加価値のある再利用を目的としており、研究チームは、変換された炭素を建築材料などへ応用する可能性についても研究している。

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