三菱電機は2019年1月31日、二つのAIを競わせてリアルな画像生成を実現する敵対的生成ネットワーク(GAN)において、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」を進化させることにより、演算量とメモリー量を10分の1に削減した「コンパクトなGAN」を世界で初めて開発したと発表した。これにより、ノートパソコンなどでも効率的なAI学習用の画像生成が可能になる。
ディープラーニング(深層学習)の登場により、AIによる画像認識の性能は飛躍的に向上し、すでに人間を上回るとも言われている。さらに最近では、画像自体をAIに生成させるGANが大きな注目を浴びている。しかし、膨大な画像を効率的に生成したり画像変換を高速に実行したりするためには、大規模な計算機が必要だった。
今回、同社は画像生成AIを構成する多層ニューラルネットワーク各層の重要度を評価するアルゴリズムを開発。大きな影響を与える層とそうでない層を判別することで不要な層を間引き、生成画像の質を同程度に維持したまま、画像生成に必要な演算量とメモリー量を従来の10分の1に削減することに成功した。
画像生成に必要な演算量やメモリー量を削減したことで、これまで必要だった大規模な計算機が不要となった。膨大なバリエーションが必要なAIの学習ための画像を高速に自動生成することにより、画像データ収集に必要な時間や人員といった準備コストを削減できる。