低オン抵抗で高電流増幅率のシリコンバイポーラトランジスタを開発 新日本無線

新日本無線は2020年8月28日、山梨大学と共同で、コレクタ領域をスーパージャンクション(SJ)構造とするシリコンバイポーラトランジスタ(SJ-BJT)の開発に成功したと発表した。

パワー半導体デバイスを用いた電流開閉装置(SSR)の小型/省エネ化達成には、パワー半導体の低損失化、特にオン状態での抵抗(オン抵抗)の低減が必須となる。しかし、サイリスタ、トライアック、MOS電界効果型トランジスタ(MOSFET)などのパワー半導体デバイスは近年性能の限界に近づきつつあり、新しい概念の低損失パワー半導体デバイスの開発が必要だった。

そこで新日本無線と山梨大学は、従来のスーパージャンクションMOSFETに用いられているスーパージャンクション技術を応用し、SJ-BJTを作製した。スーパージャンクション技術は、mn型半導体領域とp型半導体領域を交互に周期的に配置した構造で、高い耐圧と低いオン抵抗の両立が可能だ。この技術の応用により、高耐圧、低オン抵抗、電流増幅率向上を実現したパワー半導体デバイスを開発したという。

SJ-BJTでは、オン状態でベース電極からスーパージャンクションのp型領域を介して、スーパージャンクションのn型領域へホールが効率的に注入される。この効果により、電子電流が促進される伝導率変調現象が起こり、オン抵抗を低減とともに電流増幅率が増幅される。

また、従来のIGBT、サイリスタ、トライアックは、コレクタ側のp型領域からホールを注入する構造だったので、素子のオンに0.7V以上のオン電圧が必要だった。一方、SJ-BJTはベース電極からホールを注入するため、低コレクタ電圧から導通し、原理的にオン抵抗を低くできる

新日本無線は今後、家電や産業機器などのSSRへの応用を目指して本製品の開発を進めるとしている。

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