NTNは2020年10月16日、自動車のトランスミッションやデファレンシャル向けに開発した「自動車用ULTAGE円すいころ軸受」の量産納入を開始したと発表した。
トランスミッションやデファレンシャルなどの動力伝達装置は、自動車の省燃費化を背景に小型/軽量化が進み、軸受の使用環境は過酷さを増しているにも関わらず、従来と同等のトルクを出力するために、装置の高出力化に伴って軸受には高速回転性能が求められている。また、軽量化のために用いられるアルミ製ハウジングは、従来の鉄製のハウジングよりも剛性が低く、軸受に加わる偏荷重が増加する。こうした過酷な使用環境下においても軸受寿命を確保するために、高負荷容量の達成が課題だ。
NTNは、内部設計と加工方法の双方の改良により、優れた低昇温性を誇る自動車用円すいころ軸受を市場に展開してきている。今回、量産受注を開始した製品は、NTN独自のころ(転動体)形状により、低昇温性に加え、従来品を上回る世界最高水準の高速回転性能と高負荷容量を実現。ころ形状により、軌道面の接触面圧を最小化させるとともに、つば面の温度上昇を抑制できる。転動疲労寿命を向上させ、高負荷容量を表す基本動定格荷重は従来品比で1.2倍、軸受寿命は1.8倍以上、許容回転速度は約10%向上させた。低昇温性も優れている。
NTNでは特定のサイズから量産を開始し、順次展開を進めていく予定だ。